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【コラム】確かな減量法「スマートダイエット」~筑波大学田中喜代次研究室より

みなさんこんにちは。Peer Ring編集部です。

がん、というと「痩せる」というイメージを持っている一般の方がいらっしゃいますが、実際は、抗がん剤やホルモン療法の副作用で、体重増に悩んでいる方も多いですね。 筑波大学大学院 人間総合科学研究科教授の田中喜代次先生は、健康的に減量する「スマートダイエット」プログラムを開発。

このプログラムは乳がんをはじめとするがんサバイバーの皆さんにも大変効果的、 ということで、この度 PeerRingに「スマートダイエット」に関する記事を寄稿してくださいました。 ぜひご一読ください。


【減量対象となる人とは?】

WHOや国際肥満学会はBMI(体重÷身長の2乗)≧30を肥満と定義していますが、日本では≧25が採用されています。

身長が180㎝なら98㎏の体重で、身長が160㎝なら77㎏の体重でBMI=30となりますが、BMI=25の基準を採用すると、それぞれ81㎏と64㎏となり、その差は180㎝の人で17㎏、160㎝のひとで13㎏にもなります。

男女、年齢、体質、職業の違いがあり、スポーツで言えば、種目差があり、【表1】で示すように、減量を望む人や減量を必要とする人はさまざまです。 減量(スリム体型化)をうたって健康食品(いわゆるサプリメント)を販売している都内の某企業の調査によると、女性顧客3800名の中でBMIが25以上は4.1%という驚くべき結果が出ました。標準体型を求めている現実があり、適正体重を含めた健康啓発が必要な時代と言えます。

【スマートダイエットとは?】

「スマートダイエット」は筑波大学の田中喜代次研究室(平成元年~)で得られた研究成果に基づいて開発された、食習慣の改善または食生活の見直しを中心とした効果保証(体重の1割程度)の減量プログラムです(図1~3)。

現在でも、体育系の田中研究室及び前田研究室、医学医療系の中田研究室、筑波大学発ベンチャーの株式会社THF、岐阜県山県市、神奈川県横須賀市、茨木県土浦市、民間企業など多数のところでスマートダイエット教室が開催されています。過去には、茨木県内に限っても、行方市、明野町、結城市、阿見町、常陸太田市、日立市、高萩市などで開催し、参加者の脱落率(平均0~12%)が極めて低く、体重減少は平均4~9㎏となっています。

健康的に減量することが目的であるため 「食事はバランスよくいただいて、体調を整えるとともに、減量が必要なら確実に体重を落とす」 ことを教室開催前に確約するダイエット法です。

極端な低カロリー食、脂質をほとんどとらない脂質カット食、糖質をシャットアウトする糖質カット食とは異なり、脂質と糖質の摂取を適度に抑え、カロリーを適度(やや少量)に保ち、栄養バランスをしっかり良好にする食事法です。  

【運動とスマートダイエットの比較】

運動単独の効果が小さいことは1983年の筆者らの研究で明らかになっており、最近の調査でも平均2.5㎏に留まっております。(図4)

  スマートダイエット単独で7.2㎏、両者の併用では9.3㎏という結果を得ています。

運動量(強度×時間)を増やすと、必然的にエネルギー消費量も増え、減量しやすくなりますが、食事量も増えたり、何よりも膝痛、半月板損傷、疲労骨折、運動性貧血、不正脈出現などのデメリットが生じやすいため、適量の運動と食習慣改善の組合せを推奨します。  

【スマートダイエット教室の概要】

教室の概要を図5.6に示します。

指導回数は5~14回の範囲内で、12回が標準です。

過去25年間に見られた減量の大きさは最小4㎏、最大13㎏で、そのほとんど6~11㎏の範囲内でした。

教室の開催場所は大学、病院、保健センター、スポーツクラブ、公民館などでした。教室の担当者(スマートダイエット指導者)は、大学教員(体育系教師)、大学院生、保健師、栄養士、ダイエットリーダー(教室修了者、資格修得者)などで、指導担当者によって結果に多少の違いが出ることもあります。

スマートダイエット教室参加者(地域の住民や企業の社員)のほとんどは、20~69歳の成人男女で、過去には通院患者(がん、心臓病、糖尿病、高度肥満症など)や身体障がい者、知的障がい者の方々も含まれていました。

また、参加者の肥満度はBMI≧25を目安としつつ、25未満の人を受け入れることもあります。減量希望者の多くはBMI<25ですが、医師から減量を勧められているケースも少なくありません。

【まとめ】

スマートダイエットに取り組んで最初の1~3ヶ月間に限り、

1に食事管理の徹底、2.3がなくて、4に適度な運動、5にしっかり禁煙

といった上手な生き方を推奨しています。

減量効果が出現したら、 1に運動、2に引き続き適正な食習慣維持のもと、体力の増強を図り、かつエネルギー摂取量を徐々に増やしていくことが肝心です。

体力は高まり、1日の身体活動量が増え、習慣化につながる運動・スポーツが見つけられると、体重再増加(リバウンド)が防止できます。


皆さん、いかがでしたか? 

スマートダイエットの効果、すごいですね! 運動は大切だけど、運動だけではなかなか痩せられない。
バランスを取りながらの食事制限が大切という当たり前のことをしっかりやることで大きな効果が得られるということですね。
肥満防止はがんの再発予防にも役立ちます。頑張りましょう~^^

ピアリング編集部

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