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【コラム】知っておこう!セカンドオピニオンのこと

がんと告知された時、今後自分がどんな治療をするのか、本当にこの治療でいいのか、などと悩む方も少なくありません。 現代ではインターネットなどでさまざまな情報があふれていますが、情報の質は、玉石混交。混乱に拍車をかけてしまったり、間違った情報に気がつかなかったり…。 また、セカンドオピニオンという言葉を知っていても、具体的には、どのように使えばよいか、わからないという声も。 「より正確な医療情報を得る環境作り」を目指し、2002年にテキサス州公認のLLCメディエゾンを設立した上野美和さんに、セカンドオピニオンについて教えていただきました。  

「セカンドオピニオン」のあり方について

「がんと闘うためには運と情報が必要。上質な情報が増えれば運が変わってくる。」 以前お世話した患者さんの親御さんの言葉です。 上質な情報が増えるとは、「正確な情報を得る」ことと私達は考えています。 インターネットや本を利用しても、正確な情報に出会うこと、そしてそれを判断することが難しい時代です。そこで利用してほしいのが「セカンドオピニオン」  

「セカンドオピニオン」とは

診断や治療法の提供において主治医以外の専門医から独立した立場での医療アドバイスのこと。 ここでポイントになるのは、「専門医」であること。 そして「独立した立場での医療アドバイス」であることです。 最初の主治医が専門医でない場合、必ず専門医を探しセカンドオピニオンを受けてください。そして、その医師を主治医とし、専門医を更に一人探しセカンドオピニオンを受けられても良いと思います。 また、診断から全て再確認して独立した立場で意見をしてくれる専門医であることも大切です。 ただし、だからと言って、セカンドオピニオン巡りをして時間を費やすことはお勧めしたくありません。 セカンドオピニオンには必要とする「時」と「目的」と「質問」があります。 「時」について。 1、 病状が深刻な時(緊急性のない場合に限る) 2、 たくさんの治療法を提供された時 3、 治療法がないと言われた時 4、 ある特定に治療法は適さないと言われた時 5、 予後が悪いと言われた時 6、 原発不明のがんと言われた時 7、 質問したいことがまだたくさんある時 「目的」について 1、 医師と診断されたがんについてゆっくり話し合うため 2、 診断が正しいことの確認のため 3、 腫瘍のタイプ、大きさ、場所、ステージの確認のため 4、 治療法の選択肢拡大の可能性を探るため 5、 適応する臨床試験の可能性を探るため 基本的に主治医の元で得た情報の正確性を確認することが大きな目的です。 それを元に、より深く納得し、診断されたがん・治療法としっかり向き合うことが必要です。そして、時には治療法選択肢の拡大につながることがあります。 「質問」について 1、どのタイプのがんでしょうか? 2、どのステージですか? 3、これからどのような流れで何が起こりますか? 4、どのような治療法のオプションがありますか? 5、その中で最適な治療法はなんでしょう? 6、どうしてその治療法が最適なのでしょうか? 7、その治療法はどんな効果が期待できますか? 8、その治療法の長所と短所は何でしょうか? 9、その治療法の各薬剤の効果は何でしょう? 10、その治療法の各薬剤の副作用は何でしょうか? それを緩和する方法はありますか? 11、治療の効果を確認できる時期はいつですか? 12、どのような結果で効果があるとわかりますか? 13、効果がないとわかった場合、他にも治療はありますか? 14、生活をする上で注意することはありますか? 15、今後、質問したい場合の連絡方法を教えてください。   上記は基本的な質問内容です。皆さんの病状などに合わせて変更追加してみてください。 こうしてセカンドオピニオンで得た情報の活用法は、「主治医(必ず専門医であること)と分かち合うこと」です。 セカンドオピニオンが主治医の意見と違うものであったとしても、自分の体調、病状、生活を最も理解している主治医との話し合いは不可欠です。 そして、もう一つ大切なのは、治療の有効性だけを見るのではなく、患者さん個人個人の人生における優先順位や価値観を加味してこそ、セカンドオピニオンの情報は意味のあることになります。 どうか正確な情報を得て、皆さん個人個人の人生の優先順位や価値観を考えて、がんと向き合ってください。そして「がん」の中に皆さんの生活を置くのではなく、皆さんの大切な生活の中の一部としてのがんを捉えて、正確な情報を得ることによる精神的な安定のためにもセカンドオピニオンを利用していただけることを願います。   著者 上野美和    プロフィール 1964年、和歌山県和歌山市生まれ 大阪薬科大学卒業後、日本薬剤師免許取得 1991年、渡米 ピッツバーグ大学附属病院でボランティアを始めたことをきっかけにアメリカの医療現場に興味を持つ。 1993年にヒューストンへ移住後、アメリカ最高のがんセンターと言われるMDアンダーソンがんセンターにてリサーチナースのボランティア中にリクルートを受け、骨髄移植の科にてリサーチナース、後に半年間のトレーニングを受けデータマネージャーとして従事。 その経験を元に、「より正確な医療情報を得る環境作り」を目指し、2002年にテキサス州公認のLLCメディエゾンを設立。 MDアンダーソンがんセンター、NYメモリアルスローンケタリングがんセンターの協力の元、日本の患者さんへセカンドオピニオンサービスを、日本の医療従事者へ研修のアレンジ、科学論文添削を行っている。また、「納得できるがん医療と向き合うために」という内容で、日本帰国時に講演を行っている。 取材協力 メディエゾン
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