がんサバイバー女性のための情報サイト|ニュース・ピアリング

【開催レポート】「骨盤底筋」を学ぼう 骨盤底筋Q&A編

 

6月25日(土)に開催された、第25回 ピアリング笑顔塾 女性を支える「骨盤底筋」を学ぼう〜尿モレ対策・姿勢・体型に効く!〜のなかで、セミナー中と開催後アンケートで頂いた質問に、北先生、南方先生が全てお答えくださいました。セミナーの開催レポート編もぜひお読みください。

Q: 骨盤底筋の弱さと腰痛は関係ありますか?

A: 関係あります。骨盤底筋は体幹を支える筋肉なので、弱くなると姿勢が崩れて、腰痛になったり、肩こりにもなったりします。骨盤底筋は土台ですよね。(北)

 

Q: 骨盤底筋の体操で過活動膀胱を改善することはできますか?薬以外で改善は難しいですか?

A: 骨盤底筋トレーニングの効果が高いのは腹圧性失禁の方ですが、過活動膀胱の方でも効果があることもあります。トレーニングは副作用がないことが、とても良いところなので、ご自身に効くかどうかぜひためしてみてくださいね。(北)

Q: 以前より下腹部がぽっこりしてきたのも尿もれと関係ありますか?

A: 関係あります。骨盤底筋が弱くなると内臓が落ちてきたり、姿勢が崩れて体型崩れにつながり、下腹がぽっこりします。そして尿もれももちろん起きやすくなりますよ。(北)

Q: 子宮体がんの術後、まだ2ヶ月ですが、骨盤底筋トレーニングをしても大丈夫ですか?

A: それぞれの回復状況によりますので、主治医とよくご相談くださいね。放っておくと手術しか興味がないドクターもいるので、どんどんこういう質問も投げかけていってください。(北)

Q: 尿もれの症状がない時でも、いぼ痔(排便時じゃなくてもしゃがんだ姿勢などで内痔核が出てくる)ことがあるのですが骨盤底筋を鍛えれば改善しますか?

A: それは大変ですね!いぼ痔は肛門周辺の筋肉や組織のうっ血が原因のことが多いようなので、筋肉を動かすことで血行がよくなって改善する可能性はあると思います。トレーニングは副作用がほとんどないことが、良いところなので、体験いただいたトレーニングをぜひやって、いぼ痔の様子をみてくださいね。(北)

Q: 排尿時に最後勢いが弱まってすっきりと切れない、残尿がある感覚があるのですが、尿もれと同じ要因でしょうか?

A: 残尿感や頻尿は膀胱の壁が固くなっているのが原因かもしれません。頻尿の方はセミナーの中で紹介した膀胱トレーニングが推奨されているので(レポート前編参照)、そちらもあわせて試してみてくださいね。(北)

Q: 出産時「20年後に尿もれしますよ」と言われました。乳がん治療後半に尿もれが始まったのですが、どちらが原因かわかりません。対処法は違うのでしょうか?

A: 尿もれには2種類ありますが(レポート前編参照)、出産後と治療後がどちらも同じ種類の尿もれならば基本的に対処法は一緒です。腹圧性(お腹に力がかかったときにもれる)は骨盤底筋トレーニングがよくきくので、続けてくださいね。産後に尿もれがあり、一度なおったけれど、年齢を重ねて症状が出るということはよくあります。乳がんのホルモン治療をしていると、症状は出やすいかもしれません。(北)

Q: 骨盤底筋を鍛えると、便もれも解消しますか? 尿もれと便もれは関係ありますか?

A: 骨盤底筋の上には、膀胱も腸も支えられていますので、便もれも尿もれも改善する可能性がありますよ。(北)

Q: 尿意がなくても決まった時間でトイレに行くのはいいのでしょうか? 悪いのでしょうか?

A: 膀胱に尿がたまっていないのにトイレで出すのは、膀胱が広がるチャンスを減らしているところがあり、その結果頻尿を加速させる可能性があります。決まった時間に出すのは、その観点からはお勧めはできせんね。しかし、ご質問の背景に他にも要因がある場合は、尿を我慢しすぎるのは良くないこともありますので、ご自身の身体の様子をよく見てくださいね。(北)

運動科学では排尿のサインを感じても直ぐにトイレにいかず、ある程度我慢したほうが良いという意見もあります。ひと昔前は「おしっこを我慢すると膀胱炎になる」という定説がありましたが、膀胱炎になるメカニズムが「我慢している」ということではないという論文もあり、まだ解明されていません。

私たちが当たり前と思っていたことが最新の研究によって覆されることはよくあることなので、そこは自分軸で考えてもらったら良いと思います。(南方)

(編集部注:子宮頸部の術後で尿意を感じられない場合は、主治医と相談して排尿のコントロールを行ってください。)

Q: 産後、看護師さんがおしっこの時に5回止めるのをやるといいと教えてたのでやっていますが、尿もれに効果ありますか?

A: 排尿時に何度か止めるという方法はある程度効果が認められるというデータがあるので、ぜひやってみてください。産後は骨盤底筋が傷ついて尿もれしやすくなっていたと思います。思い出して実践してみてくださいね。(南方)

Q: 仮に今骨盤底筋が衰えているとしても、鍛えていくことが可能だと思うのですが、再び衰え始めたときに気付けるサインと言える症状があれば教えていただきたいです。

A: サインはいろいろありますが、弱くなると起きる尿もれ、腰痛や肩こりの悪化、太りやすくなった、冷えやすくなった、姿勢や体型崩れが気になる、身体の動きが悪くなった、などです。年齢とともに、みなさん衰えますので、ぜひサインがなくても鍛えてくださいませ。(北)

Q: 骨盤底筋の腸骨尾骨筋あたりと内転筋に慢性疼痛があるので筋肉の繋がりについてもう少し詳しく聞いてみたかったです。

A: 腸骨尾骨筋と内転筋に慢性疼痛ですか。それは痛いですね。

腸骨尾骨筋の位置を考えると、その筋だけではなく骨盤底筋全体が内転筋(もしくは内閉鎖筋、恥骨筋かも)の拘縮(かたくなっている)など、なんらかの原因で引っ張られているか、それによる慢性的な軽い炎症があるのかもしれません。

パーソナルトレーニングの場合は、拘縮筋(かたくなっている筋)や弱化筋をチェックして、機能改善のリリースやトレーニングをするのですが、こればかりは手で確認しないと難しいです。歩行動作や姿勢で大きな筋群のバランスはわかりますが、骨盤底筋や内閉鎖などは深層部にあるので動作や姿勢で見分けることは神業かもしれません。でも、骨盤底はじめ全身の筋のこと、機能解剖学も含めてご説明することはできます!またお勉強会をしたいですね。ご参加ありがとうございました。(南方)

Q: セミナー中に、日本の和式トイレがトレーニングになっていたという話題が出ましたが、欧米人は座り文化だし、大きな人も多いし、骨盤底筋低下で困っている人は多いのでしょうか?と疑問がわきました。その改善意識や改善法治療法は日本より進んでいるのでしょうか?

A: フランスでは骨盤底ケアをペリネケアと呼んで20年以上も前から100%保険の適応で行っています。日本はこの問題についてはクローズの雰囲気があり、全然進んでいません。本当に遅れています。

和式トイレの時代は、日本は世界を見渡しても誇れるほどの「足腰丈夫な日本人女性」と言われていたようです。和式トイレの姿勢はフルスクワット。重力を受けながら、あの低い姿勢のまま立ち上がる!それを1日7回も8回も自然に行っていました。

そして生活の中にも漬物石を持ち上げる動作(トレーニングではデッドリフトと言います)がありました。農作物を育てるためにかがんだり立ったりを普通にしていました。どう考えても足腰丈夫になりますよね( ^_^) 

現代の生活は敢えて運動をしなくてはならない、そんな時代になっていると思います。(南方)

Q: 個人差があり一概に言えないと思うのですが、トレーニングは1日何回くらいをどれくらいの期間行うと一般的に効果が出るのでしょうか?

A: おっしゃるように個人差があるのでご自身のペースで良いと思います。

呼吸法だけはお風呂で必ずやるといったルーティンにしている人や、思い出した時に呼吸法と簡単な体操をやっているという人、それぞれです。ストレスにならない程度で続けてみたら「気づけば不快な症状がなくなった」という方の声を多く聞きます。

ちなみに、骨盤底筋に特化したパーソナルトレーニングを続けて(週に一回、月4回)で、早くて3ヶ月・遅くて6ヶ月で、ご自身の「効果」が現れる感じです。

トレーニング理論としては3ヶ月で筋と脳が繋がる、細胞が目覚めると言われているので、やはり3ヶ月は必要かなと思います。(南方)

Q: がんを経験した人の通えるヨガ教室(名古屋で)をご存知でしたら教えてください。

A: がん経験者だけを対象にしたヨガ教室の情報がなく、ごめんなさい。ちょっと探してみたのですが、名古屋のスタジオヨギーはどうでしょうか?大阪(編集部注:南方先生は関西在住)のスタジオヨギーは良いインストラクターさんが揃っていますので、名古屋も期待できます。

ヨガには色々な種類があり迷うと思いますが、伝統的なヨガで呼吸法を大切にしている「ハタヨガ」は如何でしょうか。(南方)

北先生、南方先生、丁寧なご回答をありがとうございました。

SNSでフォローする