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ぴあれぽvol.40☆おすすめの1冊『まずはあなたのコップを満たしましょう』

すっかり真冬の寒さになりましたね。真冬用の服を今、大急ぎで購入しているところです。今回は9月の「ピアリング笑顔塾」に登壇していただいた玉置妙憂さんの『まずはあなたのコップを満たしましょう』(飛鳥新社)を読みました。

9月に開催した笑顔塾

私は先日、九州に暮らす両親の元を約2年ぶりに訪れました。コロナ禍をはさんでの久しぶりの再会でしたが、父の認知症が進んでいることに、がくぜんとしました。「生老病死」の波が、他人事ではなく迫ってきている、そう感じました。

そんな中、何か生きるヒントが得られたらと今回、妙憂さんの本の扉を開きました。妙憂さんは看護師、僧侶、そして二人の母親として活躍されている“看護師僧侶”。最近、テレビで見かけることも多くなりましたね。

がんの夫を在宅でみとる 

妙憂さんは大学卒業後、弁護士事務所に就職。結婚し、生まれてきた長男が重度のアレルギー体質だったことから、「長男専属の看護師になろう」と決意。猛勉強の後、資格を取得し、看護師として働くようになりました。そして、2005年に入院し、大腸がんの治療を続けていた夫を在宅介護でみとりました。夫の死後、妙憂さんは高野山で僧侶としての人生をスタートさせます。

積極的ながん治療を選ばなかった夫は、まるで樹木がゆっくりと枯れていくように、おだやかに美しく、旅立っていったそうです。その体験から死とは恐れるものではなく、「生の延長線上にあるもの」「日常の地続きにあるものなのだ」と、すんなり納得させられたそうです。

まずは、自分のコップを満たしましょう

「自分のことは後回しにして、まずは人のために全力を尽くさなければ」、そう思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。

たとえば、子育て真っ最中のお母さん、職場でサービス残業が当たり前になっている人、在宅介護で疲れ切っている方。「家族のため」「生活のため」と自分に言い聞かせ続け、無意識のうちに頑張りすぎていることが多いものです。

日本人特有の精神性なのか、「ボロボロになるまで、他人に貢献すること」を美徳とする風潮がある、と妙憂さんは感じています。

数年ぶりの歌舞伎鑑賞で

夫を介護中のあるご婦人が大好きな歌舞伎を数年ぶりに見にいくことを決断しました。

家のことはきちんとこなして、わずか数時間、息抜きとして「おでかけしたい」と思い、実行したのです。ところがそのうわさがご近所中に広まってしまったのです。彼女はその反応に驚き、出かけたことを大変後悔したといいます。

けれども妙憂さんはこうアドバイスしました。

「あなたの歌舞伎観劇は、正解だったよ。だって、そのあと、ご主人に一層やさしくできたでしょう? まずは自分のコップを幸せの水で満たしていいんだよ。あなたのコップが空っぽだったら、ほかの誰にも分けてあげられないでしょう?」とアドバイスされたそうです。

彼女は涙を流したあと、「あの時、歌舞伎に出かけて、数時間のあいだ心の底から楽しんで良かった」と答えてくれました。そのご婦人は介護の途中に、見てきた歌舞伎の一場面を思い浮かべ、幸せな気分を反すうすることがよくあるそうです。

やはり、自分のコップを満たすことは大事なのです。

「自他」よりも「自利」を大切に

仏教では「自分のための利益」である「自利」と、人のための利益である「利他」。どちらも同じように大切だと説いています。でも介護や医療の現場を見ていると、妙憂さんはまず先に「自利」を満たすことが大切なのだと、しみじみ感じるそうです。「自分自身を十分に満たしてからでないと、周りのために貢献などできない」からです。

疲れたとき、苦しいとき、悲しいとき。「好きなこと」「本当にしたいこと」をして心を満たすのは、とても大切です。遊園地や温泉に一時的に〝避難″するもよし。

妙憂さん自身、夫と死別したあと、2~3カ月の間に6回も人気テーマパークに子どもたちと出かけたそうです。死別直後で傷心した家族が、そこでたった数時間の〝悲しみからの逃避行″をして、いったい何を責められることがあるでしょう。

「苦しみ」「悲しみ」と、距離を置けるなら置きましょう。逃げ出せるなら、逃げましょう。苦しい状況を「耐え忍ぶ」必要なんてありません。

人の目なんて気にせず、まずはあなた自身を満たすこと。

あなたのコップは今、満たされていますか? 妙憂さんはそう問いかけています。

ピアリング編集部 ひまわり

               
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