がんを経験した女性を支援するMICIN(マイシン)少額短期保険と、Peer Ringのコラボで、2022年に実施されたキャンペーン『今年はこんなクリスマスプレゼントが欲しい』。クリスマスを彩ったこの企画が、2024年に2年ぶりの復活を果たします。 今年もテーマは「こんなクリスマスプレゼントが欲しい ~がんを経験した今、贈られて嬉しいものは何ですか?~」です。本記事では、2022年度「矢方美紀賞」を受賞したおいもさんと、最終審査に残った弥生さんのストーリーを通じて、キャンペーンの雰囲気や2人の想いをお届けします。
「矢方美紀賞」を受賞したおいもさん。応募のきっかけは、2021年11月に乳がんと診断され、12月に手術を受けた後、ちょうど1年が経過したタイミング。30代のおいもさんは、流産という悲しい経験の後に乳がんが発覚しました。がんに罹患したことは人生を大きく変えるものでしたが、手術を終え、治療に慣れ始めたころ少しずつ心に余裕が生まれていました。そんな時、たまたまこのキャンペーンを知り、「楽しそうだな」と軽い気持ちで応募したそうです。「応募することで、自分を振り返る良いきっかけになったと思います」と語るおいもさん。応募作品では、自身が夢中になっている卓球と、周囲への感謝の気持ちを込めて「卓球仲間への差し入れ」として、プロテインバーやスポーツドリンクを挙げました。
【おいもさんの作品「プロテイン&ドリンク 卓球部への差し入れ」】
「私が今もらって嬉しいものは、 「箱いっぱいのプロテインバーとスポーツドリンクの詰め合わせ」です。 去年11月に乳がんと診断され、 クリスマスは病院で過ごしました。 不妊治療の末妊娠しましたが稽留流産してしまい、また次頑張ろうと思っていたときに告知されました。 ホルモン治療中の今、将来のことを考えると不安になるときもありますが、暗い気持ちを吹き飛ばすぐらい、夢中になっていることがあります。
「卓球」です。 病気になる前からやっていたのですが、 体力が回復した今は全力で頑張っています。 元気な私でいられるのは、卓球と、卓球をできる環境にしてくださっている方々、一緒に卓球をしてくださっている方々のおかげだと思っています。 感謝の気持ちを込めて、差し入れとして、スポーツドリンクやプロテインバーを配りたいです。そしてまたみんなで楽しく運動をして、 元気に過ごしていきたいと思っています。」
おいもさんは受賞後、賞品として贈られたプロテインバーを卓球の仲間に配りました。中学・高校時代に打ち込んだ卓球。平日夜は週に2回、練習に励み、仲間と試合に出ることも。「病気のことで辛いことも多かったけれど、卓球はいい気分転換になりました。人と出会えるのが楽しいし、練習の成果を試合で発揮できるのも嬉しいんです」。
乳がんを経験したことで、おいもさんは「今を大切にする」という考え方にシフト。将来への不安もありましたが、卓球のような好きなことに打ち込むことで、前向きな気持ちを取り戻しました。「人生は一度きりやから、先のことばかり考えすぎず、今できることを全力で楽しむ。それが大事やと思います」。
そんなおいもさんの今の夢は、卓球を続けながら、家族と自分が健康で平穏な日常を送ること。最後に語ってくれた、ここを見ている仲間に向けたメッセージも、おいもさんならではの優しさが込められています。「辛い時は、自分が楽しいと思えることやワクワクすることを見つけてほしい。小さな一歩が前に進む原動力になると思います」。
弥生さんは、2021年に卵巣がんと診断され手術と抗がん剤治療を経験。39歳で、子宮と卵巣摘出の選択を迫られます。「主治医から『後悔のない選択を』と言われ、その言葉を胸に手術に踏み切りました」。その後、仕事復帰を果たしますが、不安を感じながら日常を取り戻そうとする日々が続いたと語ります。そして、ちょうど手術から1年が経ち、少しずつ気持ちを整理でき始めた時、このキャンペーンに応募。最終選考に残った知らせが届き「ただの振り返りでいいのかなと思いつつ、自分の経験を言葉にすることで病気の自分に向き合えた」と話します。
【弥生さんの作品「絵を描くためのマーカーペン「コピック」が欲しい」】
「2度の開腹手術、抗がん剤、ニット帽で寒さを凌いだ昨年のXmas。負の感情に支配された半年間、目の前の治療に向かうことで精一杯でした。私は趣味で絵を描いています。抗がん剤の副作用で手の痺れが出ましたが、リハビリも兼ねて色々な絵を描いて応募するようになりました。塗り絵は特に良いリハビリでした。あれからまた1年、2度目のXmasを迎えようとしています。今では手の痺れも取れ、絵も描き続けており、今は祖父母にプレゼントする似顔絵を作成中です。私がXmasに欲しいものはイラストを描く時に使う「コピック」というマーカーペンです。 今でも「どうして病気になってしまったのか」と考えてしまったり、再発の恐怖もあります。リンパ節郭清をしたことにより足はむくみやすく、以前のように動く事はできません。失ったものは大きい、でも私であることは変わらない。人生まだまだ!これからも楽しむつもりです!!」
このプロジェクトをきっかけに、審査を担当したミサさん(一般社団法人ピアリング理事)から、私物の画材「コピック」を突如プレゼントされることに。当日のライブ配信に出演していたミサさんは「うちに使ってないコピックあるからあげるよ!」と画面越しに伝えました。「YouTubeを見ていてミサさんからの提案を聞いたときは、驚きで叫び出したいほど感激しました。コピックは1本ずつ集めるには高価なもの。届いた時、『あの動画で見たものが私の元に来た!』と感動しました」と振り返ります。以来、塗り絵に使ったり、大好きな笑福亭鶴瓶さんの似顔絵を描いたりと、贈られてから2年経つ今も現役で使っているそう。
「鶴瓶さんの独演会に足を運んでは、描いた似顔絵をプレゼントしています。鶴瓶さんの話で爆笑することが、活力になるんですよね。絵を見てきっと今年も来たんやな、と思われてるかも」と笑顔を見せます。そして、こう続けます。
「今応募を迷っている方は一瞬でも『物欲センサー』を働かせてみてください。欲しいものを少し考えるだけで希望が見えてくるかもしれません。一昨年の靴下に入りきらないプレゼントから、絵を通じてたくさんの出会いをいただきました。ミサさんにはいつか直接お礼を伝えたいです。昨年に引き続き、今年も家族にプレゼントを配るサンタ🧑🎄になる予定です」。 その言葉には、がんを告知されてから辛い道のりを歩みながらも前を向けた今の弥生さんの姿が映し出されています。
弥生さんの塗り絵やイラスト
MICIN×Peer Ring クリスマスプレゼントキャンペーン2024応募方法
がんを経験した今贈られて嬉しい物についてのエッセイを400文字以内で募集しています。がんを経験した方が安心して自分らしい毎日を送れるようにと願うこのキャンペーン。ぜひご応募いただき、クリスマスが特別な日となるきっかけを作ってみませんか?
詳細はピアリング、ピアリング・ブルーのダイアリーをご覧ください。
https://peer-ring.com/posts/124192
2022年のキャンペーンの様子はこちら
編集、文:ゆう(ピアリング編集部)