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【レポート】まんが「押川先生、『抗がん剤は危ない』って本当ですか?」書籍紹介&出版記念講演会

漫画を使って読みやすい「がん入門書」が登場!

ピアリングブルー顧問で腫瘍内科医YouTuberの押川勝太郞先生と、漫画家おちゃずけさんの共著『【まんが】押川先生、「抗がん剤は危ない」って本当ですか?』が2023年8月18日に出版されました。

がん治療が始まった方に特にお勧めしたい本ですが、もちろん治療に慣れてきた方が一段落して振り返る時に読んでも、発見が沢山あります。また、私たちサバイバーの周囲にいる「未がん」の方や、若い学生達へも「がん防災」の意味を知ってもらうために広めたいです。

漫画の主人公「ななさん」は健康オタクの30代で妊活中に乳がんが発見されます。抗がん剤だけはやりたくないと「がん放置療法」「食事療法」などの本をあさり始めます。ダンナの真人さんが「押川先生の動画」を勧めると、なんと、動画から「押川先生(漫画なので可愛いキャラで)」がニョキニョキ飛び出してきて、主人公へ大切なメッセージを伝えます。

20話の漫画が進むにつれ、主人公の生活へ押川先生の動画がジワジワと浸透していき、周囲の親戚や友人へも影響を与えて行く様子が愉快に表現されています。最後はなんと主人公はYouTuberになって、押川先生とライブまで。私もそうでしたが、先生の影響で発信をはじめるサバイバーが増えていますので、この展開には微笑んでしまいました。

1話ごとの漫画の後に、数ページの解説文章が入ります。漫画を読んで気になったテーマを文章で深掘りもできて、さらに巻末には、テーマに関連した押川先生の動画のQRコード一覧が入っています。「がん防災チャンネル」のアーカイブ動画は現在1606本(2023/8/28)!どれから観たらいいものやらという方は、ぜひこの本の巻末から探し当ててみてください。

押川先生を慕う患者が増えている様子は、毎週日曜のYouTubeがん相談飲み会(172回:2023/8/28)でもわかりますが、コロナが落ち着いてきて、リアルで先生に会える機会が出てきました。そう、本当に画面の中から飛び出してきたような「出版記念講演会」が8月26日に東京新宿で開催されました。
押川先生の基調講演、漫画家おちゃずけさんの制作秘話、参加者さんからの質問や感想を受けながらのトークショー(私が司会を担当しました)、サイン&撮影会と、ギュウギュウに詰め込んだ充実の内容でした。

医療の目的は「治療・緩和・患者の自立」

押川先生の講義は、YouTube動画やオンライン勉強会「がんここ」などで繰り返し聴いて来ましたが、視聴者の反響をを取り入れて、少しずつ説明を工夫をされて、毎回変化している点が凄いなあと感じます。

押川先生が考える医療の意味とは「治すこと」「症状を緩和すること」「患者が自立できるようにすること」の3つの柱だそうですが、一般的に医者は「治すこと」ばかりに力を入れていることが問題だと考えているそうです。
外科医なら切って治せるかもしれない。けれど、腫瘍内科は治らないがんに対して、いかにして「患者の生活を守る」かが大切。「がん治療」とは「がん治療人生」なのだから。

皆さんは主治医から「どんな仕事をしていますか?」と聞かれたことはありますか? 私は一度も聞かれたことはなく、当時は、主治医にそんな私事を言ったら悪いとすら思っていました。しかし患者がどんな仕事をして、どんな生活をしているのかを知らずして、抗がん剤を調整して「生活を守る」ことなんて出来ないでしょう?と先生は言います。
医者から聞かれないときは、患者側からどんどん言った方がいい。言いにくいときは「お手紙作戦」で、メモを書いて渡せば良いのです。

また、患者へ言葉をかけるとき、先生は最悪と最良の両方のパターンを伝えます。悪い見通しは「覚悟」を決めてもらうため、良い見通しは「希望」を持ってもらうため、患者には両方が必要だと言います。これも患者側から主治医にしっかり聞き出したいポイントですね。

漫画家の情熱が伝わってきました

おちゃずけさんは漫画家歴25年。少女漫画家でデビューし、出産を機に子育て漫画にシフト。お子さんに発達障がいがあり、出会った療育の先生の考え方が素晴らしかったことから「先生の考えを漫画化したい」と提案して「はじめての療育」という共著を出しました。それを出発点として、興味を持った分野の専門家とタッグを組んで、専門知識を漫画で分かりやすく伝えるというスタイルで、摂食障がい、ダイエット、糖質制限、ケトン食など様々な健康テーマに切り込んで来ました。

健康情報を人の何倍も学んで来たおちゃずけさんは、もしもがんになっても、自分の自然治癒力で治すわ、抗がん剤なんて身体に悪いから絶対やらないわ!と思っていたそうです。ここは私もまったく同じでしたし、今もそういう人は沢山いると思います。
そんなおちゃずけさんが、自然療法などの代替療法と、一般的な標準治療は、どう違うのかを根本から学んでみようと決め、押川先生の動画に出会ったきっかけは、前書きに詳しく書いてあります。

YouTubeのあなたへのおすすめが全部押川先生になるぐらい、沢山の動画を視聴・観察したおちゃずけさん、「押川先生の動画には、糖質制限みたいなセンセーショナルな話題は出てきません。が、例えば、がんの悩みは人間関係がほとんどとか、抗がん剤の副作用を止める薬の進歩、緩和治療はスタートから行うなど、どれも私には驚きだったんです」「私と同じように衝撃を受ける一般人がまだまだ沢山いるだろう!」と。

自分ががんの当事者じゃないことが足かせになって、ペンが進まず苦悩した日々もあったそうですが、がんになっていないからこそできることがあるのでは?と気づいたのが「がん防災マニュアル」だったそうです。がんになる前に、がんの知識をつける「防災」を広める手伝いは、まだがんになっていない人の視点が必要だ!と気がついて出来上がったのが、この漫画のストーリーなのだそうです。

絶望と絶望をすり合わせた先にあるものは…

押川先生の言葉と、おちゃずけさんの表現力があいまって、この本で涙してしまったシーンがありました。
そ・れ・わ!(←押川先生風に読んでね)こちらのシーンです。


ピアリングに設立からずっと携わってきて、何度も痛感してきたこと。同じシーンをずっと目撃して来られた押川先生の眼差しにも優しさを感じ、嬉しかったです。

【本のご購入】こちらからどうぞ
押川先生、「抗がん剤は危ない」って本当ですか? (光文社新書 1270)

【リアルイベント】押川先生&おちゃずけさんに会える 次のチャンスはこちら
2023年9月9日(土) 13:40開場 / 14:00開演
紀伊國屋書店新宿本店 3階アカデミック・ラウンジ
「抗がん剤は怖いが、使わないのはもっと怖い」
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1691376921/

【助っ人募集】学校にこの本を広める活動を手助けしたい方はこちらへご参加ください。
https://www.facebook.com/groups/832145048418965

by 望月ミサ(一般社団法人ピアリング理事/がん防災デザイナー )

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