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ぴあれぽvol.46☆第26回 ピアリング笑顔塾「AYA世代の保健室〜AYA世代の経験談や話を聞いてみよう〜」開催レポート

こんにちは。ピアリングサポートメンバーのもえとかなです。
今日は、8月23日に開催した第26回ピアリング笑顔塾「AYA世代の保健室〜AYA世代の経験談や話を聞いてみよう〜」の様子をレポートします!

【AYA世代】がん患者全体の2.5%に過ぎないこの世代

 みなさんは、AYA世代という言葉とその意味を、ご存じでしょうか。15歳以上40歳未満にがんを罹患した世代のことです。この世代は、進学や仕事、結婚、妊娠など様々なライフイベントが集中する時期で、治療との両立に悩みや不安を抱える方も多くおられます。また、その中身は人によって様々で、孤独になりやすいとも言われています。

 今回は、AYA世代のみなさんが一人でも多くの方々と繋がったり、治療や日常生活を穏やかに過ごしたりできるきっかけになればと考え、ピアリング編集部と共に企画しました。

第一部の講演会は「AYA世代がん経験を経て、生まれた『あの風プロジェクト』について」 

第1部は、子宮頸がん経験者である尾崎ゆうこさんを講師にお迎えし、ご講演いただきました。尾崎さんは、30代で子宮頸がんの告知を受けました。その経験からAYA世代を含む女性サバイバー26人の想いや体験を短歌に表現し、1冊の本(「黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える」)にまとめた「あの風プロジェクト」を立ち上げられました。この短歌集には、がん経験者の多くが共感できるものから、AYA世代ならではのものまで、様々な想いが収められています。私たちが普段、ピアリングで仲間のダイアリーを読んで、共感したり、励まされたりするように、この短歌にも自分と重なる想いや癒しとなる言葉が収められています。

まず、ご自身の治療経験やそこから生まれたプロジェクトのコンセプトや込めた想いについてご講演いただきました。尾崎さんは、多くの方がそうであるように、告知後は大きな絶望や拒絶感が心の中で混在し、さらには手術後は後遺症、治療費、今後のライフプランなど生活自体への不安感や恐怖感も募っていきました。言葉にできない感情ということだけでなく、同世代で同じような悩みを抱える人が周りにいないこと、またその悩みが理解されないことによる孤独感も感じていました。

体調が落ち着き、後遺症との付き合い方が少しずつわかってきた頃、尾崎さんはがん関係のイベントに出たり、サバイバーの仲間と繋がってオフ会に出たりするなど、前向きな情報収集をされるようになりました。同時に、「誰かの役に立ちたい」という想いが芽生え始めました。

この気持ちの変化には、ご自身でも驚かれたそうです。その時の尾崎さんの心の変化は、学術的にいう「障害受容」と似ていると言います。

①初期治療後は、体調の変化や人の言動などに気持ちが揺れ動く反応的な時期。
②しばらく経つと自分の心と体との折り合いがつけられるようになる時期。
③そして、徐々に自身の経験が自分のアイデンティティーになっていく時期。

特に、①から②への変化を支える考え方として、心理学研究者の言葉から「失った部分以外にもたくさんの価値が自分にある」「幸せの形は自分が決める」などAYA世代ならではの悩みを乗り越えるヒントとなるメッセージをたくさんお伝えいただきました。

告知から1年半後、尾崎さんは短歌と出会います。最初は短歌についての知識などはなかったそうですが、のちにプロジェクトの監修を務める岡野大嗣さんの短歌を詠んだ際、その短歌が尾崎さんの気持ちを代弁してくれているように感じたそうです。また自分が感じてきた想いをサバイバーではない方と共感できたということから、短歌というものの可能性を強く感じたそうです。サバイバーにエールを送ったり、サバイバー以外の方からも共感を得たり、そしてAYA世代特有の悩みに関心を持ってもらえるようなきっかけに、短歌がなるのではないかと思い、プロジェクトを立ち上げるに至りました。

そして、SNSを通じて集まった26人のAYA世代を含むサバイバーは、岡野さんの指導のもと、半年ほどでおよそ300首の短歌を詠みました。2021年3月4日「白い雲と黒い雲との間にグレーではない光が見える」はついに出版されました。

サバイバー短歌は、サバイバー当事者たちが詠んでいるからこそ感情がうまく表現されており、共感だけでなく、読者の方も素直な感情に戻ることができます。また、本はコンパクトなサイズ感と控えめな配色で制作されているため、場所を選ばずに手に取ることができます。さらに、短歌は日常の些細なことを題材にすることが多いです。尾崎さん自身もこのプロジェクトを通して短歌づくりを続けるうちに、生活の中に小さな発見や何気ない喜びを感じられるきっかけにもなっているそうです。

第1部の最後には、尾崎さんのご講演を踏まえて、AYA世代のピアリングサポートメンバーのかながさらにお話を伺っていきました。まず、実際に短歌集を手にとって詠んだ感想をお伝えしました。ご講演の中でもいくつか作品をご紹介いただいたのですが、収められている短歌には共感できるものが多く、涙が出てくるものや思わずクスッと笑ってしまうものもあったことをお伝えしました。
そして、「障害受容」の経過が私、かなにもあったこと、その結果、ピアリングでAYA世代対象のおしゃべり会を企画するようになり、サポートメンバーとして活動させていただいていることについてお話ししました。尾崎さんからは、「活動の大小や表に見えるかそうでないかなど、活動の見た目は関係ない。自身の体験をふりかえることは、他者や未来の自分を後から支えることになるのではないか。」というお言葉をいただきました。必ずしもみんながみんな、治療後に人の役に立たなければいけないというわけはありません。
ただ、ダイアリーを残したり、オフ会やおしゃべり会に参加したり、今までやったことのないことに取り組んだりすることは、自身のがん経験をそれぞれの形で受容でき、一歩歩き出すきっかけや後から振り返ったときに実は支えになっていると感じられるかもしれません。また短歌とピアリングのダイアリーは、「言葉での表現」という点で、いつでも読めるし、いつも寄り添ってくれるという共通点があるという発見もありました。

第二部の座談会では少人数でおしゃべり

最後には希望者のみ参加した座談会も行い、講演に関する感想やそれぞれのお気持ちについておしゃべりしました。とても短い時間でしたが、尾崎さんの考え方の変容(がん体験の価値の転換)に共感する方が多く、ご自身の体験を振り返りながらお話しくださいました。また、「もう少し話したかった!」というお声も事後アンケートでいただき、大変ありがたかったです。

終わりに

今回は初めて、AYA世代向けの笑顔塾を開催しましたが、たくさんの方にご参加いただきました。事後アンケートにも、たくさんのご感想やご意見をいただき、とても温かくありがたいお言葉ばかりでした。本当に開催して良かったと感じております。ありがとうございました。

一方で、AYA世代サバイバーで孤独感や不安な思いを抱えながら、日々の生活を頑張っておられる方が多いことを改めて認識いたしました。そういった方々のためにこれからも何を続けてやっていけるのか、支え合っていけるのか、編集部様とともに今後もAYA世代向けの企画を考えていきたいと思います。

そして引き続き、私たち、もえとかなは毎月2回の「集まれ!AYA世代」の活動も続けてまいります。土曜日の21時からリモートにて、2時間程度、少人数でのおしゃべりを楽しんでおります。AYA世代に想いを届け、AYA世代同士を繋げる、誰も1人にしないためのおしゃべり会です。ぜひご興味がございましたら、ご参加ください。(詳しくは、かなのイベントページをご覧ください。)

ピアリングレポーター・by かな、もえ

               
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