ピアリングでは、会員のみなさんにご協力いただき、がん手帳アプリ「WelbyマイカルテONC」の使い勝手の検証を行いました。そして、3名の方にアプリの感想を伺いましたので、vol.1~vol.3の三回に渡ってお届けします。
Bさん(30代 関西地方在住。浸潤性乳管がん。手術、抗がん剤治療済み。現在、ホルモン療法を継続中。家族構成:父、母、妹)
仕事の関係で2年ほどアラブ首長国連邦のドバイに住んでいました。仕事に明け暮れていた今年1月のある日、シャワーを浴びていたところ右胸にしこりがあるのをみつけました。
絶対におかしいと不安になり、早速、翌日ドバイの病院にかけこみました。
当初、「悪性ではない」と言われたのですが、念のために乳腺外科のある大きな病院へ紹介状を書いてもらいました。
細胞診の結果は、悪性の乳がんでした。「どうしよう、なんで私が?」と頭が真っ白になりました。
日本へ帰っての手術を希望していたのですが、当時はコロナ禍で帰国が難しい状況になっていました。
もし帰国できても2週間の自主隔離が必要でしたし、海外からの帰国者である自分を受け入れてもらえる病院がみつかるかどうかさえ分かりませんでした。
手術を急いだ方が良いと言われたこともあり、ドバイで手術と治療を一人で受ける決意をしました。ドバイでは主治医も看護師もとてもフレンドリーで、医療者との距離感が日本と比べてとても近くて、相談ごとをしやすかったのが印象的でした。
帰国後、地元関西の病院で抗がん剤とホルモン治療を行ったのですが、海外での通院時ほどゆっくりと主治医に質問をすることができなかったのが、悩みの種でした。
当初、質問が3つあったら1つくらいしか解決ができなかったと思います。つらい副作用やお薬のことをもっと相談できたら良かったと思い返しています。
副作用を抑えるお薬などは10種類以上もあったんです。しかも私は副作用が強く出てしまうタイプで。たくさんある薬を自分で覚えたり、管理がしにくかったりしたことも大きな悩みでもありました。
そんな時、がん患者向けアプリ「WelbyマイカルテONC」(以下、「マイカルテONC」という)の存在を知りました。
使ってみて一番よかったことは、薬の飲み忘れを防げるようになったことです。
常に手元にあるスマホからお薬の服用時間のお知らせが来るので、うっかり飲み忘れていた!ということが無くなりました。
お薬の管理に加え、「マイカルテONC」で副作用などの「症状記録」を毎日つけることで、次回の診察の時に主治医に「抗がん剤の点滴から、何日目に強い副作用が出た」などと的確に伝えることができるようになりました。
また、私はもともと血管が細くて抗がん剤の点滴の注射の針が入りにくく、何度も注射を失敗され、腕にひどいあざができてしまいました。その際に「炎症が出たら病院に来てください」と言われるのですが、口頭でいくら「傷口が腫れた」と言ってもなかなか医療者には伝わらない。
そんな時、「マイカルテONC」の写真記録機能を使い、腕の腫れを撮影して看護師さんに見せて説明したところ一目で症状が伝わり、とても役にたちました。口頭で言うのと写真で見るのとでは、大違いですからね。
家にいて時間があると、病気のことや今後のことなど不安に襲われてしまいます。
そんな時にネットサーフィンをして、乳がんについての正しいかどうか分からないネガティブな情報に触れてしまい、さらに落ち込んだりしがちでした。
でも「マイカルテONC」に病歴や日々の気分を入力していると、その時の自分の状態に合わせて国立がん研究センターなどから信頼できる情報やコラムが送られてくるので、安心でした。
「マイカルテONC」で記録を始めてから、聞きたいことは臆せず主治医に質問し、きちんと答えを聞けるようになりました。
紙の手帳を持たなくても、このアプリひとつにたくさんの機能が詰まっています。
薬の管理も、体調や気分の記録も、画像で症状を残すこともできる〝お役立ちアプリ″です。
私はもともとマメなタイプではないのですが、気軽に寝る前に布団の中で記録をつけたり、コラムを読んだりしています。
やればやるほど、自身の副作用の傾向がつかめて自信が持てるようになりました。
もっといろんな人にこのアプリを使ってほしいと思います。