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ぴあれぽvol.37☆おすすめの1冊「がんで不安なあなたに読んでほしい。自分らしく生きるためのQ&A」

関東地方は秋晴れが続き、部屋を駆け抜けてゆく風がとても気もち良いです。日暮れには、スズムシやコオロギ、クツワムシなど秋の虫たちの大合唱を楽しんでいます。秋本番ですね。

今回紹介する本は、『がんで不安なあなたに読んでほしい。自分らしく生きるためのQ&A』(ビジネス社)です。著者の清水研先生はがん研有明病院(東京)で腫瘍精神科部長を務める精神腫瘍医。精神腫瘍医とは、がんに関する心のケアを専門にする精神科医、心療内科医のことです。

患者からの相談を3つのステップに分け、わかりやすく紹介

清水先生はこれまで4000人以上の患者や家族の相談を受けてきました。この本では、代表的な相談を選んで読者に回答する〝紙上カウンセリング″を行います。がんと診断され、とまどう患者の様々な相談を「がんの宣告を受けた直後」、「治療中」、「治療後」の3つのステップに分けて紹介しています。

「がんと診断を受け、まず何をすればいいのか。職場や友人にどう伝えればよいのか分からない」、「主治医とうまくコミュニケーションがとれない」、「がんの宣告を受け、『何がいけなかったのか』と自分を責めてしまう」、「自分の精神状態がもつのか、不安になる」――など、がんと宣告された人が一人で抱えこむ様々な不安に対して、先生はひとつひとつ丁寧にアドバイスをしていきます。

Q–「がん宣告のショックが大きく、何も考えられません」。

A–この時大切なのは、しっかり「悲しむ」ことです。「悲しみ」や「怒り」などのネガティブな感情はよくないものと思って感情にふたをしてしまう方も多いのですが、それは心理学の観点からはおすすめできません。悲しみという感情は、その人が「大切なものを失った」と感じる時に生じるもので、傷ついた心を癒やす力があります。感じている心のままに泣いて泣いて、泣き疲れてどこかで底を打った時、病気になってしまったという事実を受け入れられるものではないかと思っています。

私も1月に乳がん告知を受けました。がんになったという事実が信じられず、夢であってほしいと泣き続けました。しかし、確かに泣き疲れて心が底を打った時にようやく病気を受け入れ、全摘手術をしよう! と腹をくくることができた記憶があります。

Q–治療のため半年以上休職しなければなりません。復職できても今までのように働けるか分かりませんし、勤務先に迷惑をかけるのは目に見えています。いっそのこと、退職してしまった方がましです。

A–何よりもまず、絶対に辞表は出さないでください。がん告知直後に混乱した気持ちのまま辞表を出して、あとでとても後悔したという方を私はたくさん知っています。治療にもお金が必要ですし、まずは休職という形をとって、結論を先延ばしにしましょう。働く世代でがんになられる方もたくさんいらっしゃいますし、今健康な人もいつがんや重い病気になるかわからない。病気になった時に普通に「休職します」と希望できる社会になっていってほしいと思っています。

清水先生によると、Hope for the best,and prepare for the worst.ということわざがあります。「最善の状態を望み、最悪の事態に備えなさい」という意味だそうです。いつ何が起こるか分からないから、必要な準備は念のためにしておく必要がある。しかし、きっと自分は治療がよく効くだろうと願いながら日々を過ごしては、とアドバイスします。

「悲しいとき、悔しいときに無理に明るくふるまう必要はなく、感情の赴くままに病気と向き合う中で、時間はかかるかもしれませんが、苦しみの嵐はだんだんと静まっていくのではないかと思います」と、先生は静かに語りかけます。

予期できない未来に、不安でいっぱいになってしまう心を解きほぐしてくれる、そんな1冊でした。

文・ピアリング編集部 ひまわり

               
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