国立がん研究センター(東京都中央区)が運営するウェブサイト「がん情報サービス」が7月1日、9年ぶりに全面リニューアル
国立がん研究センター(東京都中央区)が運営するウェブサイト「
がん情報サービス」が7月1日、9年ぶりに全面リニューアルされたのをご存知ですか?
100人の「患者市民パネル」の協力で、患者さんが欲しい情報をより探しやすく
リニューアルに携わった、同センターがん対策情報センター研究員の渡部乙女さんは「目指したのは見やすく、自分の欲しいがんの情報にいち早くたどり着けるサイトです」と言います。
渡部さんによると、ネット上には不確かな情報も多く、間違った情報に振り回され、混乱する女性がん患者さんが多くいるそうです。
これまでの「がん情報サービス」は、増え続けるがん情報のために、読者が欲しい情報を探しにくい面があったそうです。 そこで、旧ウェブサイトを整理し、ほとんどの記事を最近5年以内に作成・更新した新しい情報に差し替えました。さらに、約100人の「患者市民パネル」の協力を得て、情報を収集し、患者さんが欲しい情報をより探しやすくするさまざまな画面配置の工夫を行いました。
「乳がん」「肺がん」など、最も利用者が多い、日本人に多いがんをトップ画面に配置することで、すぐに自分の知りたいがんの治療情報にアクセスできるようにしたのが、大きなリニューアルポイントです。
スマホユーザーに配慮した「スマートフォン・ファースト」の画面構成
さらにサイトの閲覧者の半数以上がスマートフォン利用者であることから、画面の文字を大きくするなど、「スマートフォン・ファースト」の画面構成にしました。
どのページからも画面を下にスクロールすると、「サイト内検索」「病名から探す」「相談先・病院を探す」のボタンにアクセスできます。 閲覧履歴の確認や、よく見るページの登録もできるようになったので、自分がよく見るサイトをいちいち検索しなくてもアクセスできるようになりました。
聞きにくかった話題へのアドバイスにもアクセスできる
また女性患者にとってうれしいのが、性交や尿もれなど、これまでは医療者には聞きにくかった話題についても、同サイトからアクセスができるようになったことです。
「がん種」のほか、「男性特有」「女性特有」のタグが設けられているので、主治医に聞くのがためらわれる「性交をいつから開始してよいのか」や、子宮がんや卵巣がんの患者に多い悩みのひとつである「尿漏れをする」「尿が出にくい」など、女性ならではの身近な悩みに寄り添ったアドバイスにもアクセスしやすくなりました。
さらに「小児がん」「AYA世代」「はたらく世代」などライフステージ別の検索も可能になり、AYA世代ならではの妊よう性の話題など、世代ごとの切実な話題にもつながりやすくなります。
全国の『がん相談支援センター』につなぐ役割も
「私たちには情報を出すだけではなく、(全国のがん診療連携拠点病院にある)『がん相談支援センター』につなぐという、もうひとつの役割もあります」と渡部さん。
サイト右下には「相談先・病院を探す」というタグが常に表示されています。がんと診断されて間もない人や、症状があっても悩んでまだ病院にかかっていない人は、迷わずに自分の住む地域の「がん相談支援センター」に電話をして、自分の症状や悩み事を相談してほしいそうです。
「『がん情報サービス』は多くのがんの専門家の先生や、実際にがんを経験された患者さんから生の声を多く拾い、確かな情報を提供しています。女性特有がんの患者さんは周りの人に相談しづらいことも多いので、このサイトがお医者さんに相談する一歩を踏み出す力になればうれしい」と渡部さん。
女性特有がんに悩む私たちが、分かりやすくリニューアルされた「がん情報サービス」を使わない手はありませんね。
文:ピアリング編集部 ひまわり