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【コラム☆ピアリング】キャリアコンサルティング体験レポート〜がん治療と仕事〜

突然のがん告知。その時、「仕事のことはどうしよう」「仕事を続けていけるのかな?」という不安が頭をよぎる方は多いと思います。がん治療と仕事の両立は、私たちがんサバイバーにとって大きなテーマ。

しかし、告知されたばかりはもちろん、治療が落ち着いていたとしても、仕事の悩みや不安を自分だけで解決しようとするのは難しいもの。そもそも「治療と仕事の両立に関して相談できるところってあるの?」「誰にどのタイミングで相談すればいいんだろう?」と、漠然とした不安にぶつかっている方も多いかもしれません。

「キャリアコンサルティング」を知っていますか?

今の仕事や将来のキャリアに不安を感じている方や、スキルアップ・キャリアアップを目指したい方などに対して、これらの仕事に関する相談に乗ってくれるのが、キャリアコンサルティングです。パートやアルバイトなど、正社員以外の雇用形態でも相談することができます。

今回ご紹介する、厚生労働省委託事業のキャリア形成サポートセンターでは、現在在職中の方向けにキャリアコンサルティングを無料で実施しています。

しかし、無料とはいうものの「キャリアコンサルティングって私にはなんだかハードルが高そう…」と思ってしまいますよね。
そこで、ピアリング会員のミサさんに、実際にキャリアコンサルティングを受けてもらうことに。そして、面談後のミサさんをピアリング編集部のゆうが直撃取材し、キャリアコンサルティングの感想を話してもらいました!

ピアリング婦人科リーダーのミサさん

ミサさんはグラフィックデザイナーとして活躍中ですが、がんに罹患後、仕事に対して向き合い方が変わったと言います。
そんな時、ピアリング会員で、キャリア形成サポートセンターで働くおさるさんに誘われて、ピアリング会員さん向けの「ジョブ・カードを使った自己理解セミナー」に登壇。(詳しくはミサさんのダイアリーへ)
セミナーの中でジョブ・カード へ記入をしてみたことをきっかけに、キャリアコンサルティングを知りました。
以前はミサさんも、キャリアコンサルティングについて「仕事を探している人に転職を勧めるイメージ」を持っていて、自分には無縁だと思っていたそうです。

ジョブ・カード (画像はミサさん作)

 

キャリアコンサルティングを無料で実施している「キャリア形成サポートセンター」へ

キャリアコンサルティングを受けるにあたって、まずはこれまでの自分のキャリアを記載したジョブ・カードを準備。
キャリアコンサルティングでは、この「ジョブ・カード」を使いながら、これまでの経験や自身の強み、今後のキャリア目標などについて、キャリア支援の専門家であるキャリアコンサルタントと一緒に自己理解を深めます。

「最初にジョブ・カードに書き込みをしてみて、いわゆる“ネタ”の少なさに驚きましたが、同じ仕事をブレずに続けてきた証とも言えるので、良い意味でも、残念な意味でも、自分自身を振り返ることができました。」とミサさん。

キャリアコンサルティングを受ける部屋へ。一対一でじっくり話せるよう、たくさんの個室が用意されています。

今回の取材に同行させてもらっているピアリング編集部のゆうとは、ここで一旦お別れ。ミサさんだけ一対一で話せる個室に入り、いよいよキャリアコンサルタントの方と面談です。

担当のキャリアコンサルタントの方が個室で面談をしてくれます。

ミサさんはこれまで
「50代半ばに差し掛かり年齢が気になる。同世代はどうしてるのか?」
「業界も大きく変わり紙媒体が衰退。IT化をだましだましのりこえて来たが、波についていけないと最近は感じる。また、以前のように仕事があるわけではないので、今後の働き方が気になっている」
「情報産業なので記憶力や集中力の低下が気になる。それでも仕事がくれば引き受けてしまう」
などの悩みを抱えていました。そんな悩みをキャリアコンサルタントの方に話すと、とても丁寧に耳を傾けてもらえ、自身の強みとテーマが明確になったことで、ミサさんがこれまで悩んでいた、年齢と仕事との壁などのモヤモヤが晴れて、心強い気持ちになれたそうです。

「キャリアコンサルタントの方からは
『人生100年時代で、60歳からのセカンドキャリアの社会人生も長い。退職後、地域とのつながりなどで社会との接点を作る方も多い中、ミサさんの場合は、ピアリングでの活動やがんを通じて知り合った方を通して、仕事の幅も広がっている。そのことが、今のテーマであり、強み。』
と、フィードバックを受けて、とても励みになりました。
そして、高齢になってからの働き方をぼんやりと捉えていましたが、50歳代からの準備の大切さを実感しました。そしてがん啓発や、仲間とのコミュニティーという『今のテーマ』を持っていることを、これからの人生の強みにしたいという私の想いに対して、応援の言葉をもらえました。」

そう語るミサさん。フィードバックをもらったことで、自分の強みと弱みを再発見できたようです。今後は仕事への向き合い方もうまく折り合いをつけられるかもしれませんね。さらにミサさんはこうも続けます。

「やはり、弱みの方が気にかかります。強みは、その時その時に目標を見つけられる人生観と、その目標へ突き進むバイタリティとでもいいましょうか。ちなみに弱みは、人を育てるのが苦手。全部自分でやりたいプレーヤーですが、生涯現役って普通はあり得ないことと、がんを通して気がつきました。」

仕事との向き合い方を振り返りたい方、相談を迷っている方へ

「自分の仕事ぶりを振り返るって、恥ずかしいものですよね。バリバリ働いてきた実績がないと「キャリア」って言葉に戸惑うと思います。でもキャリア形成サポートセンターの「キャリコン」は、キャリアについて大仰に考えるのではなく、自分がそれまで積み上げてきた「仕事」を振り返ること。
駄目エピソードOK! 失敗談OK! バイトやパートも含めて、自分のこれまでの仕事を正直にキャリアコンサルタントさんへ話すことで、一歩を踏み出す勇気や元気を頂けることは、間違いないです!」

そう語りながら、笑顔でサポートセンターを後にするミサさん。今日は詳しく様子を教えていただき、ありがとうございました!

キャリアコンサルタントさんからのメッセージ

ミサさんのキャリアコンサルティング終了後、今回担当してくださったキャリアコンサルタントの方から、ジョブ・カードでの自己理解や、キャリアコンサルティングについてのポイントとメッセージをいただきました!

キャリアコンサルタント:「自分のことをアウトプットをするのが苦手、という方が多くいらっしゃいますが、常に今の自分の状況を書いておくことが大切になります。仕事の雇用形態は問わずに、ジョブ・カードに自分がしてきた仕事を書き込むと、客観的に自分を見られるので、まずは書き込んでみることが大事です。」

ゆう:「まず、ジョブ・カードに書き込んでみて自己理解を深める、さらに、キャリアサポートセンターに相談来る、というアクションを起こすことが、自分の課題解決の鍵になるかもしれませんね。」

キャリアコンサルタント:「相談に来た方からは、話してスッキリとした、モヤモヤが解消された。方向性が見えてよかった。などのお声を多くいただきます。また、キャリアというと、仕事のイメージが強いですが、それだけではなく、職場や家庭でたくさんの役割を担う方も多く、家事育児との両立の相談をされる方もいらっしゃいます。ざっくばらんにいろいろな相談をお受けしますので、ぜひ一度お越しください!」

キャリア形成サポートセンターの事務局に勤務しているおさるさん(左)とミサさん

全国42ヶ所にある、キャリア形成サポートセンターは、在職中の方ならどなたでも無料で相談できます。また、オンラインでも相談を受け付けているので、全国どこからでも相談することができます。相談することで自分の強みと弱みがはっきりすると、仕事に対する向き合い方にも、いい変化があるかもしれません。

がん罹患後、仕事と向き合う中で不安や戸惑いを感じている方。キャリアコンサルタントと一緒にご自身の棚卸をして、『私にはこんな強みがあるんだ』と、自信を持つきっかけに繋げてください!

キャリア形成サポートセンター

文・聞き手:ピアリング編集部 ゆう 取材協力:ピアリングサポートメンバー ミサ

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