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【ドクターズコラム】教えて!瞳先生〜がんを告知された後の妊娠・出産〜

ピアリング顧問ドクターの鈴木瞳先生から、がんと妊娠についてのコラムが届きました。

「がんの告知をされたあとの妊娠・出産について知りたい!」という若い世代の悩みの声も増えてきました。
そこで編集部では、顧問ドクターの瞳先生に、ピアのみなさんの声をお伝えし、このコラムを執筆いただきました。

まずは妊孕性(妊娠するために必要な力)について知ることが大切。

がん罹患後のサバイバーシップ(がんサバイバーが生活で抱えるいろいろな課題を社会全体で協力して乗りこえていくためのサポート)を考える上で、治療と生殖機能との関わりは大変重要な問題です。

抗がん剤あるいはホルモン剤の投与による卵巣機能低下とそれに伴う「妊娠する力=生殖機能」の低下は良く知られており、薬剤によっても様々ですが、例えば、抗がん剤投与によりおよそ10年卵巣機能低下が早まるとも言われています。

治療によって、閉経状態となり生理が戻ってこない可能性もあります。
しかし、そもそも人の生殖機能は、がん治療の有無に関わらず個人差があり、特に30代後半からの個人差は非常に大きくなるといわれています。

また、薬物治療後に生理が戻っても必ず妊娠できるわけではなく、「月経がある=妊娠できる」ではありません。

婦人科で話をきくこともおすすめ

さて、再発予防目的の術後補助治療は、がんの悪性度・進行度を考えた上で必要と判断された場合に施行していきます。

しかし、中には、腫瘍の大きさや腋窩リンパ節への転移具合などから、術後の抗がん剤治療をやるかやらないか、医師の中でも見解が分かれる場合があります。

その場合は、効果と副作用を考えて、抗がん剤治療の実施について決めていく必要が出てきます。その際、子供を持つことに対しての希望や生殖機能についても考えなくてはいけません。
主治医との話し合いの他、セカンドオピニオンなどを利用しても良いと思います。

婦人科を受診して生殖補助医療(卵子凍結、人工・体外受精などの生殖に対する治療法)について話をきくこともおすすめです。

医学的に生殖機能を温存する生殖補助医療としては、卵子凍結や受精卵凍結などがあり、実施する場合は、抗がん剤を開始するタイミングやホルモン治療を中断するタイミングなど、卵巣の状態も鑑みて行うため、婦人科と乳腺外科や腫瘍内科が連携して行います。

子どもを持つことの希望についても考え方は様々

「自然に任せたい」
「生殖補助医療を受けてまでの妊娠は考えていない」
「どうしても妊娠したい」
「夫は治療優先というけれど私は早く妊娠したい」

子どもの希望についての考え方も、人それぞれ違いますよね。

薬物治療を受ける際は、まず妊娠出産についてのご自身の考えを主治医に伝えて相談してみてください。

妊娠出産は決してゴールではありません。
子供を育てることは、がん治療以上に大変なこともあり、家族や周囲のサポートなしではやっていけません。
ぜひご自身だけでなく、ご家族も一緒に話し合ってみてくださいね。

テキスト:鈴木瞳先生(一宮西病院・乳腺外科 ピアリング顧問)

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