ピアリング顧問の鈴木瞳先生(一宮西病院 乳腺外科部長)より、乳がん治療に伴う「時間の負担」に関する研究論文が、国際学術誌『Breast Cancer』に掲載されたとご報告いただきました。また、先生は2026年6月に開催された日本乳癌学会でも、ピアリングでの調査結果をもとに「乳癌治療に伴う生活負担の多様性―時間的負担感と経済的負担感に関連する要因の違い」について発表されました。
あわせて、学会での発表ポスターもご紹介します。
乳がん治療に伴う「時間の負担」を調査した論文が、国際学術誌『Breast Cancer』に掲載されました!
Peer Ringの皆さん、こんにちは。
このたび、乳がん治療に伴う「時間毒性(Time Toxicity)」について調査した研究論文が、乳がん領域の国際学術誌『Breast Cancer』に掲載されました。この研究は、Peer Ringの皆さんにご協力いただいたアンケート調査をもとに行ったものです。改めて、ご協力くださった皆さんに心より感謝申し上げます。
今回の研究で私たちが注目したのは、乳がん治療にかかる時間は、病院で過ごす時間だけではないということです。
例えば、
こうした時間も、患者さんやご家族にとって大切な生活の一部です。
調査から見えてきたこと
Peer Ringで実施したアンケートには866人から回答が寄せられ、そのうち乳がん患者さん598人の回答を分析しました。
主な結果をご紹介します。
① 病院で過ごす時間
② 病院の外にもある時間の負担
また、診断後には病気や治療について情報を調べる時間が増えたり、仕事・旅行・運動など、これまでの生活に制限が生じたり、控えたりする経験も報告されました。
私たちが伝えたいこと
がん治療では、治療効果や副作用について考えることがとても大切です。
一方で、治療を受けるためにどれくらいの時間が必要なのか、治療のために日常生活のどのような時間が失われているのか、という視点も忘れてはならないと考えています。
例えば、同じ治療であっても、通院にかかる時間や仕事・家事との両立、家族のサポート状況は一人ひとり異なります。
だからこそ、治療を選ぶときには、効果や副作用だけでなく、皆さんが大切にしている生活や時間についても、ぜひ医療者に伝えてほしいと思います。
待ち時間も、自分らしく過ごすために
病院での待ち時間をゼロにすることは、難しい場合もあります。
だからこそ、受診の日には待ち時間が生じることもあると考えて、好きな本を持っていく、音楽を聴く、気になっていたことを調べる、ゆっくり休むなど、自分なりの過ごし方を考えておくのも一つの方法です。もちろん、病院側も待ち時間を少しでも減らせるよう工夫していく必要がありますし、医療機関や社会への働きかけも重要だと考えています。
待ち時間を減らすための工夫と、待ち時間を自分らしく過ごすための工夫。その両方が大切です。
患者さん自身も、限られた時間を少しでも心地よく過ごせるように工夫する。そんな小さな取り組みも、治療と日常生活を両立していくためのヒントになるかもしれません。
「通院の待ち時間がつらい」
「治療の日は一日がかりになってしまう」
「治療後は家事ができず、家族に負担をかけている」
「自分の時間がなかなか持てない」
そんな声も、これからの乳がん医療を考えるうえで大切な情報です。
「治療とともにある毎日の時間を、もっと大切に」
今回の研究が、患者さんと医療者が時間の負担について一緒に考え、一人ひとりの生活を大切にした治療を考えるきっかけになればと願っています。
最後に、今回の研究にご協力くださったPeer Ringの皆さん、そして研究を一緒に進めてくださった皆さんに、心より感謝申し上げます。
【論文情報】
Suzuki H, Tsukuda M, Ueda N, Yodogawa T, et al.
Time toxicity in breast cancer care: a nationwide cross-sectional survey of multidimensional time burden in Japan.
Breast Cancer. Published online October 15, 2026.
DOI: 10.1007/s12282-026-01926-4
▼論文はこちら(全文閲覧用・SharedIt)
https://rdcu.be/zcwmgvowPoca
▼論文掲載ページ(Springer)
https://link.springer.com/article/10.1007/s12282-026-01926-4
今回ご紹介した研究に関連して、2026年6月に開催された日本乳癌学会では、鈴木瞳先生がピアリングでの調査結果をもとに、「乳癌治療に伴う生活負担の多様性―時間的負担感と経済的負担感に関連する要因の違い」について発表されました。乳がん治療に伴う生活への負担をさまざまな視点から捉えた研究としてポスターを発表されているのでぜひご覧ください。

