5月31日(土)、第36回ピアリング笑顔塾を開催しました。
今回は「知っておこう!がん治療で変わる肌と爪~アピアランスケアでできること~」と題して、講師に東京都立駒込病院 皮膚腫瘍科 医長/同院アピアランスケアセンター 副センター長の西澤綾先生をお招きして、頭皮を含む肌と爪のアピアランス(外見)ケアについてお話しを伺いました。
がん治療を受けるとき、避けては通れない「副作用」ですが、使う薬剤や人によって症状も様々で、多岐にわたります。主治医との限られた診察時間の中で、全ての副作用を詳細に聞く事は難しいかもしれません。
そんな中、後回しにされがちな「肌と爪」の症状ですが、QOLに大きく関わる辛い症状になることもあります。
今回はその「肌と爪」にスポットをあてて、どんな症状が起こる可能性があるのか、そしてどんな対処をするのが良いのか、先生からたくさんのアドバイスをいただきました。
まず西澤先生の講義では、がん治療に伴う皮膚・爪症状についてお話しいただきました。
受ける治療や薬剤によって、症状の出方や時期が違うので、講義の中ではたくさんの症状の説明がありました。
症状によって対処法は様々ですが、どの症状においても気を付けた方が良いことをまとめました。
まず肌の症状に対しては、とにかく早い段階でのスキンケアが大切。
肌を清潔にする、保湿をしっかりする、紫外線から肌を守る。
あたりまえのことかもしれませんが、治療中はより丁寧に、しっかり行うことが大切です。
特に保湿はどの症状に対しても一番大切で、まずは保湿をしっかり行うことを心がけましょう。
爪の症状については、QOLに関わるようなことも多く、爪囲炎や、割れる、浮く、などのお悩みに対して、爪の切り方や、爪囲炎のテーピング方法などを詳しくお話しいただきました。
そして爪も保湿ケアが重要。毎日こまめにハンドクリームなどで保湿をしましょう。
また、講義の中で紹介されていたファンケルの「Nagomi time」には、西澤先生が紹介されていたテーピング動画などを見ることができます。こちらもぜひ参考にしてみて下さい。
その他、髪が抜ける、髪が生えてこない、といった症状についても、お薬によって違いがあることがわかりました。化学療法で髪が抜けるのは避けられませんが、生えてこない悩みには対処法があるとのこと。
有効成分「ミノキシジル」は、ドラッグストアでも手に入りますので、ぜひお試しください!
見逃した方はアーカイブをお楽しみに!
対談では、今後どんな症状が出る可能性が高いのか気になる人に向けて、西澤先生に相談が多い悩みについてお伺いしました。
まず、爪の悩みについては、やはり圧倒的に相談件数が多いとのこと。
その中でも繰り返す爪囲炎のお悩みや、変形のお悩みの方が多いそうですが、乾燥や割れてしまう、ひっかかる、などの相談もあるようです。
病院に行かずに対処する方もいらっしゃると思いますが、皮膚科に相談する、正しい情報を扱うサイトを参考にするなど、少しでもできることを取り入れて、悪化しないようケアしていきましょう。
そして次にあがったのが「シミ」。
これも本当に質問で多かったので、シミができる可能性のあるお薬を使う方は、注意が必要です。
病院ではビタミン剤や漂白のお薬の処方、また自費にはなりますがレーザー治療をおすすめすることもあるそうです。
今シミが出ていない方も、保湿をする、紫外線対策を万全にする、などの対策をしていくことで、悪化を防ぐことができます。「シミ」に対するケアとしては、なるべく作らない、濃くしないことが大切です。
その他にも頭皮のお悩みや、肌の乾燥、ざ瘡様皮疹などがあげられました。
ただ、皮膚症状がひどくなれば皮膚科に行くと思いますが、乾燥やシミぐらいで行くのも・・・という気持ちになってしまうことも。
「症状がひどくなる前に来ていただくと、予防法もお伝えできるのでぜひ受診して下さい!」(西澤先生)
がん治療をする上で、重症化する可能性がある、ということを知っておけば、早い段階で皮膚科を受診する選択ができ、予防法などもしっかり教えていただけそうですね。
最後に質疑応答タイム。
ここでは、事前にいただいた沢山の質問と、当日チャットで出た質問に、お時間の許す限り、ひとつひとつ丁寧にお答えいただきました。
「ジェルネイルをしているが大丈夫?」「美容医療は受けても良いの?」などの美容のお話しや、「巻き爪治療をしても良いか」「肝斑対策は?」「かかとが剥けて痛い」などの症状について、さらには「化学療法が終わって前髪と頭頂部が薄いままです」などの頭皮のお悩みについてもアドバイスをいただきました。
この質問コーナーについては、参加者から、「先生の回答が的確で参考になった」「自分以外にも同じ悩みを持つ人がいるとわかって励みになった」などの感想が寄せられています。
そして西澤先生からは
「もう何でも皮膚科で聞いてくれたら嬉しいです。一緒に対処法を考えましょう!」
と、心強いお言葉をいただきました!
昔は「仕方がない」とあきらめていた症状も、現在では対策が立てられることも増えてきました。
まずはこれから受ける治療によって、どんな症状が出る可能性があるのか知っておきましょう!
変化が出たときに知識や準備があると、落ち着いて対応したり、悪化を予防することができます。
そして、不安なときにはひとりで悩まず、相談することも大切です。
ピアリングやピアリング・ブルーで悩みを質問する、アピアランスケアのサイトを参考にする、そして早い段階で皮膚科を受診するなど、自分に合った方法で対策をしましょう。
100%の解決じゃなくても、少しでも軽減できたり、悪化させない対処ができる、という情報を知ることは、治療を乗り切る支えとなるのではないでしょうか。
アピアランス(外見)ケアは心のケアだと言われます。
大切なのは自分の心が少しでも軽くなるどうか。そのために、自分が必要だと思うアピアランスケアを、どんどん取り入れていってくださいね!
文責/野村奈美(Namy)