2024年10月24日(木)~26日(土)、福岡で第62回日本癌治療学会学術集会が開催されました。一般社団法人ピアリング執行部メンバーは『患者と医療をつなぐリーダー育成を目的としたPAL(Patient Advocate Leadership)プログラム(患者・家族支援プログラム)』を中心に参加しました。
このPALプログラムには、ピアリングとして2021年から毎年参加していますが、コロナ禍を経て、リアルでの参加は初めてで、多くの医療者、患者支援団体の皆様と交流しながら学び多き充実した3日間となりました。
今年4月にピアリングとピアリング・ブルーにて実施した『がん薬物治療に伴う副作用に関する実態調査』。たった10日ほどで、実に954名もの会員の皆様から切実なご回答が寄せられたこの調査について、今回発表の機会を得ました。
本調査の『副作用の日常生活への影響』部分について、佃美紗都(ピアリング調査研究担当)が、トップバッターとしてプレゼンテーションを行ないました。
仕方がない、と片付けられてしまいがちな「脱毛」、そして辛さをなかなかわかってもらえない「倦怠感」などの副作用について、日常生活への具体的な影響の詳細を明らかにしました。
については上田暢子(同代表理事)が発表を担当。
副作用の状況や辛さについて、2割程度の人は、主治医に充分伝えることができておらず、「医師が忙しそう」「治療が中止になってしまうと困る」などの理由で我慢している人がいることも明らかになりました。
副作用は我慢し続けると、結果的に体力を消耗して治療を続けることが難しくなってしまうこともあるため、医療者とのコミュニケーションを良くして、副作用に速やかに対処する重要性を訴えました。
続いて望月ミサ(理事)は、写真を大きく使ったポスターでデザインを患者支援や啓発活動に活かした事例を発表。「言葉の力で患者同士が支え合う」をコンセプトにより多くの患者へ「ピアリングで生まれた言葉」を広めようと制作した『万年ひめくりカレンダー「今日の笑顔」』『言葉のお守り ピアみくじ』を紹介しました。
また、福田ゆう子(ピアリング編集部)は、ピアリングが加盟する「神奈川県がん連」の活動として「がん患者外部講師育成システムの構築」について発表し、がん経験者が外部講師として活躍できる新たな仕組みが、患者参画の可能性を広げることを示しました。
嬉しいことに、ポスター発表では、執行部メンバーだけでなく、ピアリング会員さんからも、それぞれのご活動に関する発表がありました。
会員の山本小百合さん(ホタテさん)は自身の卵巣がん患者としての経験から、キャリアと健康管理の両立に関する課題を発表。さらに、西田久美子さん(rinさん)は、ご自身が代表を務める京都府立医科大学附属病院の患者会「つばなの会」活動を通じての婦人科がん、HBOCの患者さん等のサポート活動について発表されました。
全国で、患者さん支援に活躍するピアリング会員さんが増えて、ネットワークが拡がっていることを、とても心強く感じました。
今回の学会発表は、同じ志を持つ患者団体の方や、医療従事者、支援者の方などと共に、それぞれの取り組みを共有する貴重な機会となりました。医療は日々進歩を続けていますが、その中心にいるのは常に私たち患者です。これからも、このような発表の場から、患者の声を医療現場に届け、がんに向き合いながらも自分らしく豊かに日々を過ごせる社会を創るために活動していきたいと思います。
■『がん薬物治療に伴う副作用に関する実態調査』ポスター発表資料は、こちらからダウンロードできます。
https://drive.google.com/file/d/1uYYoE3ternv-A6QyOH5nyaxGDSll7h6-/view?usp=drive_link
◾️第63回日本癌治療学会学術集会
2025年10月16日(木)から18日(土)まで、神奈川県のパシフィコ横浜にて「第63回日本癌治療学会学術集会」が開催されます。この集会では、がん患者や支援者の方々を対象とした「がん患者・支援者プログラム(PAL)」も行われます。遠方からのご参加には助成制度もありますので、交通費などの負担が軽減されます。がん治療に関する最新情報や支援に役立つ知識を得る貴重な機会ですので、参加してみてはいかがでしょう。お申込み方法や助成制度については公式サイトでご確認ください。
(文:一般社団法人ピアリング 上田暢子)