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【学会発表】「乳がん・婦人科がんの治療におけるSDMと満足度の実態調査」in 第31回日本乳癌学会学術総会

2022年末、ピアリング顧問医師である鈴木瞳医師によるご提案・監修の元、「乳がん・婦人科がんの治療におけるSDMと満足度の実態調査」を実施し、ピアリング会員の皆様にご回答いただきました。

◆がんの治療におけるSDM(共同意思決定)とは

SDMとは「Shared Decision Making」の略で、医者と患者である私たちが治療方針の決定にあたって、リスクとメリットについて情報を共有しつつ共同して意思決定をしていく考え方です。

インフォームドコンセント以上に、患者が積極的にその価値観や主体性を重視した治療方針の決定方法でもあります。

◆調査の目的

今回の調査では、乳がん、婦人科がんの治療の現場でどのくらいSDMが実施され、治療への満足度につながっているか」の実態を調査する目的で実施されました。

◆調査実施方法

ピアリング会員の希望者から、下記の方向でアンケートにご協力を頂く形で回答いただきました。

・期間:2022年11月30日~12月14日
・対象:オンライン患者会PerrRing会(n=380名/乳がん患者・婦人科がん患者)
・方法:SDMの認知度と実施率、SDM-Q-9、BREAST-Q、意思決定の患者主観的評価についてのwebアンケート

2023年6月29日(木)~7月1日(土)、パシフィコ横浜で第31回日本乳癌学会学術総会が開催され、昨年ピアリング会員の皆様にご協力いただいた「乳がん・婦人科がんの治療におけるShared Decision Making(以下、SDM)と満足度の実態調査」の結果について、ピアリング顧問ドクターの鈴木瞳医師がポスター発表をされました。

【PeerRing会員の声が学会に届く】

その結果、分かったこと、見えてきた課題について瞳先生がポスターにまとめて発表をしてくださいました。発表の概要は下記のとおりです。

◆調査結果

SDMの認知度は、知らない(74%)、言葉を知っているが意味は知らない(13%)と90%弱の患者に認知されていなかった
SDMについて認知度が高い群で実施率も高い傾向が見られた
SDMがしっかり行われることが、術後の整容性への満足度や心理的な健康にまで良好な影響を与える可能性が示唆された
・SDMが実施できたと感じている郡の方が、術後の整容性への満足度や心理的健康観について優位に良いスコアであった
・乳がん患者では、自ら意思決定に関与したと認識している割合が婦人科がん患者よりも高い傾向であった
診断後や術後病理結果説明時に特に主治医とのコミュニケーションを必要としていた

SDMの重要性が示唆された一方で、まだ認知度は乏しいという課題も明らかになり、患者が特にコミュニケーションを必要としているポイントで積極的にSDMを実施していく工夫が必要であると訴えかけてくださり、聴講されている方々も熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

【SDMへの注目と取り組み】

今回の学会において、訪問日(6月30日)だけでもSDMに関わる講演が複数行われていました。

メディカルスタッフセッションでは、「意思決定支援を見直す ~ヘルスリテラシーの観点から~」や「在宅医療ものがたり ~“ その人らしく生きる” をつなぎ、支える~」、BC-PAP患者・市民参画プログラムの海外招聘特別講演では、ポルトガルの医師Fatima Cardoso氏による「Advanced Breast Cancerのための意思決定支援」や「2023年版患者向けガイドラインの解説」等です。

患者が意思決定していく際に、現在どのような課題があり、どのように取り組んでいくべきなのか、さまざまな観点から語られていました。

例えば、過多となっている情報の取捨選択方法、医療従事者のコミュニケーショントレーニングの必要性、世間に存在する偏見の影響、患者の理解力向上の支援等です。多岐にわたる議論を聴講し、医療技術だけでなく個々の患者に寄り添い、最適な医療を提供しようという考えも大切にしてくださっている方々がいらっしゃることを実感しました。

また、次世代を担う若手医師による発表(会長特別企画 次世代の乳がん医療を拓く)では、「20年後に求められる乳腺診療医の姿と人材育成」と題して、現在の乳腺診療医の働き方の課題と改善提案が述べられていました。SDM調査の結果を集計する際に挙げていただいた会員の皆様の悩みとして多かったのが、「先生が忙しくて相談しづらい」というものでした。一見医師の働き方改革はSDMとは関係ないように思えますが、このような課題抽出と改善が患者の課題解決にもつながる可能性があるのではと感じました。

瞳先生とピアリング調査分析チーム

【今後に向けて】

発表後、瞳先生からは、「今回は乳癌学会ということで、乳がんに罹患された方の調査結果を中心に取り上げましたが、今後外科学会でも取り上げることで、婦人科がんも含めて治療におけるSDMの重要性を周知していきたい」というコメントをいただきました。患者の声を積極的に医療者へ届けてくださる瞳先生をこれからも応援していきたいと思います。

レポート(一社)ピアリング 可知茉莉恵

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