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【経験談】がんの経験を活かして入浴用タオルを開発『NYUYOKU TOWEL(入浴タオル)』

このコーナーでは、がんを経験しながらも明るく生きる女性たちをご紹介しています。

今回は、乳がんの経験を機に、胸のコンプレックスを気にせずお風呂が楽しめる「入浴タオル」『NYUYOKU TOWEL』をオリジナル開発、販売開始した三上美紀さんに寄稿いただきました。


こんにちは。ピアリング会員のはむはむこと三上美紀です。

私は2018年の39歳の時に乳がんに罹患しました。その時のショックは計り知れず、インターネットには答えはないのに、検索してはどんどんネガティブになっていく日々でした。

その時に見つけたのが女性のためのがんコミュニティ『ピアリング』でした。

誰にも相談できなかったことが、ピアリングを覗くと実際に体験したことが綴られていて、ダイアリーを綴ればアドバイスや温かいコメントをくださり、同じ想いをしている仲間がいるんだと心底励まされました。そんなピアリングに支えられながら、手術や抗がん剤を乗り切ってきました。

日常の生活に戻る中で見つけた「自分のやりたいこと」

手術後、リハビリの為に通っていたスポーツジムで偶然ママ友に会いました。
ジムの後のお風呂が好きな私は、タオルを駆使して胸を隠して入っていましたが、そのママ友はどんなに汗をかいても、いつもお風呂に入らずに帰っていて、気になったのである日理由を聞いてみました。
すると「自分の胸がコンプレックスで、人と一緒にお風呂に入ることが苦手」だと教えてくれ、胸を隠したい理由は人それぞれだということに気が付きました。

「乳がんだから、術後だから胸を隠す。」という概念ではなく、【隠すことは自由な選択肢のひとつ】という新しい価値基準をみんなで作っていけたら、と考えるようになりました。次第に「自分にも何できることがあるかもしれない、それが仲間と一緒なら叶えられるかもしれない」と強く想ううちに、心がワクワクするのを感じていました。

胸のコンプレックスをポジティブに!クラウドファンディングで【NYUYOKU TOWEL(入浴タオル)】開発

「どんな方でもさりげなく胸元を隠せるタオルを作りたい」という想いから、muneposi(ムネポジ)というプロジェクトを、ジムで会ったママ友と2人で立ち上げました。
そして『人目を気にする事なく、両手を自由に動かして身体が洗える!心軽やかに、堂々と隠そう!』をコンセプトに、誰でも使うことのできる【NYUYOKU TOWEL(入浴タオル)】を開発しました。muneposiの由来は「胸のコンプレックスをポジティブに!」という想いからです。

想いとこだわりが詰まったNYUYOKU TOWEL

胸元を隠す、入浴着等も開発されていますが、もしかしたらかえって目立ち、使うことに躊躇する人もいるのでは、と思います。実際に、私もその一人だったことから、入浴シーンにおいて、入浴着以外に様々な選択肢があったら、もっともっとお風呂を楽しめる気がしたのです。

コソコソする必要はない!頭ではわかっていても、心がそこまで追いつかない。

その心境を含め、今までと変わらない日常こそが、がんサバイバーの希望に繋がってほしいという思いを込めて、挑戦が始まりました。

ここからは少し、NYUYOKU TOWELのことをお話させてください。

まずこだわったのは長さ!

最初は通常のタオルで代用!と思いきや、スタンダードのタオルではどうしても長さが足りない!ギリギリではなくすっぽり隠れる長さにこだわりました。

次は生地…

凹凸のある生地。甚平などに使われる生地で、水に濡れてもボディラインが露わになることを軽減。また、表・裏地ともに水切れが良い生地にこだわりました。
さらに首元はメッシュにすることで、シャンプーなどのたまり、ヌルヌル感を最大限に軽減!フィットし、ごわつかない設計に。

ボタンでファッション性を出し、重くならないようにとこだわりぬきました。
こういうのが欲しかった!と、既にたくさんのご購入者の方から大変嬉しいメッセージをいただいています。

クラウドファンディングにも挑戦し、開始初日に目標額を達成することができました。皆さんからいただいた嬉しい声を宝物にして、様々な理由で胸元を隠したいと思った方が心が軽くなるように…明るい気持ちで気軽に使ってほしいと思っております。

「第六回荒川区新製品・新技術大賞」受賞


3月に荒川区で行われた「第6回荒川区新製品・新技術大賞」でNYUYOKUTOWELが入賞しました。
また、本年度より東京都荒川区のインキュベーション施設、イデタチ東京内にオフィスを構え、今後も経験をもとに、あったらいいのに!と感じたもの、またどんなものをもらったら嬉しいのか。という両方の視点で心に寄り添った優しくトキメク商品を生み出していくことを目標に今後も頑張ってまいります。

がんを経験したことで・・・

乳がん罹患は、私にとって予想もしない出来事でした。

そしてまたその先に、まさか自分が!商品開発をするという未来を歩むなんて、当時の私はもちろん想像すらしていませんでした。

私たちの小さな勇気から生まれたこのタオルが、どなたかの勇気のきっかけとなり、HAPPYの循環ができたらいいな。と、心から願っています。
ぜひ、NYUYOKU TOWELを覗いてみてください。

munecom ネットショップ

muneposi 楽天ショップ

ピアリングでの皆様とのご縁に感謝し、皆様からのご意見も参考にさせていただきながら、いつかどこかでお役に立てたら幸いです。

プロフィール

三上美紀
2018年、39歳の時に乳がんに罹患。乳房全摘、抗がん剤を経て同時再建を試みたが、アラガン社リコール問題もあり再建を断念。断念したことにより一層、入浴タオルの必要性を感じ、開発に意欲を燃やす。一番大切なことは“変わらない日常”と痛感し、がんサバイバーの希望に繋がればとの想いからケア製品の開発などに取り組んでいる。

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