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【「乳癌日記」出版記念インタビュー】夢野かつきさん、自身の闘病をコミックエッセイに!

3年ほど前、ピアリングスタッフが友人から手渡された「乳癌日記」という同人誌。
作者は夢野かつきさん。

その漫画には、乳がんの闘病の日々が、明るくテンポの良い語り口で描かれていました。
その後ピアリングにダイアリーを投稿してくれたかつきさんとは、公式イベント「ピアリング笑顔塾」で初めてお会いし、漫画どおりの明るく飾らない人柄に、一気にファンになりました。

そんなかつきさんの作品「乳癌日記」が、このたび廣済堂出版から出版されることに。
「がん=辛い治療」のイメージに反し、クスっと笑えてとっても元気になれる闘病コミックエッセイです。

かつきさんの素敵な主治医、榊原先生の監修で、乳がんに関するお役立ち知識も満載です。
これから乳がん治療をする方、特に不安で沈みがちな方に、ぜひ読んでほしい1冊です。

今回かつきさんに、ピアリングオフィスに来ていただき、乳癌日記に込めた想いや、エピソードを伺いました。

かつきさんの著書「乳癌日記」

著者のかつきさんご紹介

夢野かつき(ピアネーム かつき)

1975年千葉県生まれの44歳。40歳の誕生日に乳がんを告知。
乳がん経験をまとめたコミックエッセイ「乳癌日記」が2020年9月廣済堂出版より発刊

ピアリングオフィスに来てくれたかつきさん

がん治療をきっかけに描き始めたコミックエッセイ

絵を描くのはもともと好きで、中学生の頃から、本格的に漫画を描き始め、二次創作(アニメをもとにしたパロディー)の同人誌を作ってきました。

いつかはプロになりたいけど、無理だろうなぁと思ってましたね。
実は、今まで自分のことって描いたことなかったんです。
描いてみようと思ったのは、主治医に治療に対する自分の不安を説明するためでした。

当時は知識がなかったので、手術で胸と脇のリンパを切除すると聞いて
「脇のリンパを取って、もしも腕が動かなくなるなら漫画が描けない、どうしよう」
とものすごく悩んでいました。

その不安を、うまく説明する自信がなくて、「どうしたらうまく伝わるだろう?」と考えた時、「漫画に描いて見せながら説明すればいいじゃん!」とひらめき、当時の自分の経験を漫画に描きました。

こうして「乳癌日記」が誕生


「手術してもこれと同じものが描けますか?」と漫画を見せながら聞いたら、ドクターは「描けます!」と即答。

それを聞いて安心し「先生、全摘しちゃってオッケーです!」と伝えました。
ちなみに、タイトルの「乳癌日記」なんですが、ひらがなの「がん」ではなく、漢字の「癌」を使ったのは、漢字4文字のタイトルが、しっくりきたからです。

 
ピアリングの紹介漫画 

ピアリングとの出会いは、まだサイトが立ち上がってすぐの2017年。
漫画のイベントでお客さんに「僕の友人がピアリングという女性のがんのサイトを運営している」と教えてもらい、すぐに登録してみました!

私が登録した頃は、まだ今よりもずっと人数が少なかったですね。
その後、公式のオフ会「ピアリング笑顔塾」などにも参加しました。
今このピアリングのサイト上にある、紹介の漫画は、私が描いたものなんですよ。

ピアリング紹介漫画「PeerRingで会いましょう」

 

なるべくわかりやすく、明るく、伝わるように。 

エッセイ漫画なので「どうしてもこれを伝えたい!」とか、あまり気負わずに、
「途中で終わらせないぞ」、くらいのことを目標にしていました。
構成も最初からしっかりと決めずに、あの頃はこうだったなぁと、と思い出しながら描いていましたね。

 
大変だったところは、ドクターの説明を漫画に起こすところ。

診察の時に、医師から説明を聞いて、家に帰ったら忘れないうちに、即パソコンに打ち込み、後からわかりやすい表現に直しました。

薬の名前なんかは、間違えないように調べながら描いて。
そして、文章だけだとわかりにくので、わかりやすいイラストをなるべく多く入れるようにしました。

「がん」がテーマでしたが、重い感じを出さずに、できるだけポジティブな印象になるよう心がけました。
といっても、私生活がいつもすでにコントみたいな感じなので(笑)

そのまま描いたら自然にギャグ漫画っぽい雰囲気になりましたね。

「乳癌日記」の一コマ

 
事前に知りたかったのは、抗がん剤の副作用のサイクル!

漫画に描いたのは、どれも外せないエピソードばかりです。
治療を経験して、一番驚いたのは、抗がん剤の副作用には「サイクル」がある、ということ。

このことを、治療前に知っていたら、ここまで不安にならなかっただろうなと。
抗がん剤による体調不良の副作用には、この「サイクル」がある、ということは、、これからがん治療に臨むみんなに知っていてもらいたいので、もちろん漫画にも入れました。

それから、これも漫画に描いたのですが、治療中、交通事故にあったんです!
全治2週間と言われたものの、わりと大丈夫だったので、がん治療と怪我の治療を並行しながら、そのまま立ち仕事を続けました。
職場と通院している病院が徒歩圏内なので、治療中も仕事が続けやすかったですしね。

私はけっこう体力がある方なので、立ち仕事も続けられたのですが、副作用の辛さは人それぞれなので、私のマネをして、無理しないで下さいね(笑)

 
これから治療の方、今、辛い方、治療が終わって一息の方、そしてご家族。
とにかくみんなに読んでほしい!

今回、この本を出版できたのは、たまたまイベントで私の漫画を見た編集者の方から連絡をいただいたことがきっかけです。
がんにはなったけれど、思いがけない形で、プロの漫画家になりたいという幼い頃の夢が実現しました。
そんなこともあり、今不安を抱えている方へ、私が伝えたいのは「普段通りに自分が好きなことを楽しんで」ということ。

がんと言われ、ショックが大きいと思いますが、楽しいことも必ずあります。
必要以上に不安になりすぎないでくださいね。

それから、この本には治療に関するさまざまなことを、たくさん詰め込みました!
治療に向かう方はもちろん、がんに関心のある多くの方に読んでもらいたいです。

「これから再建です!」とかつきさん。

今後は、再建手術を予定しているので「再建日記」も描く予定。
こちらも楽しく読める作品になると思うので、楽しみにしていてください!

 

「乳癌日記」はこちらから購入できます!
乳癌日記 胸の小さな痛みから始まった乳癌闘病記 (日本語) 単行本 

 

文・写真:ピアリング編集部

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