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【コラム☆ピアリング】「検診へ行ってね!」~大切なひとに伝えよう~

「検診へ行ってね」~大切なひとに贈りたい言葉~

身近な方が、乳がんになってほしくないと思うことは、その辛さを知っているサバイバーの皆さんであれば、なおさらだと思います。

そのためにも「乳がんの検診に行ってね」と、啓発するのはとても大切なことなのです。

乳がん検診の受診率が諸外国に比べて低い日本の現状

乳がんの罹患率は45~9歳の女性で、1,000人に1人。これは胃がんと比べ3倍のリスクになっていて、とくに4~50歳の乳がん罹患率は、この20年間で約2倍に増加していると言われています。

4~50歳における女性のがん死亡率の25%を乳がんが占め、がんの中では最も多い死亡原因となっています。

しかし、残念ながら、欧米の乳がん検診受診率が80%以上であるのに対し、日本の乳がん検診受診率は45%程度です。(2016年度全国乳がん準率44.9%. 厚生労働省:国民生活基礎調査より)

乳がん検診としては、マンモグラフィーが一般的ですが、X線の被曝の懸念や、検査することで乳がんになりやすくなったりするのかな、という不安、さらに検査の時に痛いかも、という心配などから、検診に行くのに心理的ハードルを感じている方が多いのではないでしょうか?

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マンモグラフィーによるX線照射のメリットデメリット

マンモグラフィーの撮影は、X線の専門家である、診療放射線技師が検査します。

X線の照射範囲を撮影部位以外には照射しないように限定しています(コリメーション)。

また妊娠中の方であっても腹部(胎児)へ照射されることはなく、事故等により万が一照射されたとしても、検診によるX線吸収線量は、胎児に影響が考えられる線量としての1/100~1/30であり(子宮内被曝時の確定的影響の閾値は0.1Gyにて、検査時のX線吸収線量は、1~3mGyである事から)、影響はないと判断できると考えられています。

また、X線の被曝を伴う乳がん検診による放射線のリスクによる余命短縮と、検診よる余命延長のメリットとしての利益/リスク比を評価した研究があります。

この研究からすると、女性の乳がん罹患率は30歳代から増加。40歳代後半でピークを迎え,その後はほぼ変わらず,60代後半から次第に減少しており、マンモグラフィーによる乳がん検診によるメリットが30歳から上回り(30~34歳では、1.32倍)、乳がん罹患のボリュームゾーンと共にそのメリットが増えて行きます。(40~44歳では、13.4倍、45~49歳では、21.1倍、50~54歳では、39.0倍、55~59歳では、37倍、60~64歳では、84.6倍、2年間隔検診として)

また撮影時、圧迫により乳房を1cm薄く(圧迫時の乳房厚を5cmから4cmにすると)することで(撮影条件により変わりますが)、被曝線量が約1/2に低減し、その上画像コントラストも改善します。このことから低被曝及び検査画像がより明瞭となり、その恩恵を受けることができます。(平均乳房圧迫厚は4cm)

マンモグラフィーで発見される乳がんの70%以上は早期がんと言われています。

サバイバーだからこそ、身近な人に伝えよう、検診の大切さ。

今後、少しでも多くの方の早期発見につながるよう、ぜひ「検診に行こうよ」とピアリングの皆さんから声をかけていただけたらと思います。

 

テキスト:小口真一 経営/人材育成コンサルタント(MBA・診療放射線技師免許 取得)

ソニー、GEヘルスケア、コニカミノルタ等、一貫して医療事業業界にて従事し、この間、マンモグラフィーの開発、臨床支援にも携わる。現在は、医薬/医療機器分野・医療機関を中心としたコンサルタント業の傍ら、一般社団法人ピアリング顧問として、がんに向き合う人の環境つくりとその応援に向けて活動している。

監修:篠原範充 岐阜医療科学大学・大学院准教授

ピアリング編集部

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