10月14日、大阪・中之島会館で朝日新聞社主催の市民公開講座「知ることで、選べる。わたしの乳がん治療」が開催されました。
前半は兵庫県立がんセンターの松本光史先生による「乳がんをよりよく治す~薬物治療と多遺伝子検査~」の講演、後半は梅宮アンナさんを招いてのトークセッション「一緒に学ぶ乳がんの『治療のこと』『検査のこと』『お金のこと』」が行われました。
患者代表として一般社団法人ピアリング理事の林恵理さん(ロッカ)が登壇。イベント終了後、ロッカさんにお話を伺いました。
ーロッカさん、大きなイベントへの登壇お疲れ様でした。このイベントのテーマはどのようなものだったのでしょう?
ロッカ : 「知ることで選べる。わたしの乳がん治療」というタイトルの通り、1人ひとりが納得のいく治療法を選ぶために大切な治療のこと、検査のことなどについて学んでいくというのが今回のテーマでした。
ー大きなイベントで患者経験をお話した感想はいかがでしたか?またどのようなことを伝えたいと思って登壇されましたか?
ロッカ : たくさんの方の前で自分のことをお話するのは初めてで、とても緊張しました。
乳がんと告知されて治療について悩む方も多いと思うけれど、しっかり悩んで納得して自分の治療に向かってほしい。私はすごく悩んで納得して治療を決めたので後悔はない。自分の想いを主治医に伝えて、コミュニケーションを取りながら治療法を決めてほしい、ということを伝えたいと思いました。
ーすごく悩んで治療を決めたということですが、治療を決めるまでのことをもう少し詳しくうかがえますか?
ロッカ : 私はサブタイプがホルモン受容体陽性、HER2陰性というルミナルBタイプの乳がんだったんですね。それで手術、放射線治療、ホルモン療法は決まっていたのですが、抗がん剤治療をやるかやらないかで迷っていました。そんな時に自分自身の再発リスクや、抗がん剤の効果を調べることができる多遺伝子検査があると主治医に教えてもらい、受検しました。結果がはっきりとデータで分かったおかげで、抗がん剤治療は受けないと決められました。
ーお話にでてきた多遺伝子検査ですが、このイベントでは、ピアリングでの調査「乳がんの多遺伝子検査と治療選択に関するアンケート」の結果も紹介されていましたね。
ロッカ : そうですね。オンコタイプDXが保険適用になってから検査対象だった方に対して、ピアリングで7月に実施した調査の結果が紹介されていました。
多遺伝子検査を受けた多くの方が「受けてよかった」と回答されていましたが、「抗がん剤を受けない選択ができた」という意見と「抗がん剤を実施した場合の予想効果を知ることができたので、納得して治療に臨めた」という意見があって、抗がん剤を受けた方も受けなかった方も、納得して治療を決めていることが印象的でした。
ー 松本先生や、梅宮アンナさんの印象はいかがでしたか?
ロッカ : 松本先生は、「患者さんの迷いにはできるだけ寄り添うことを心がけたい。エビデンス(検査結果)に基づいて、丁寧に説明を重ねていき、患者さんと協力して治療方針の決定を目指したい」とSDM(シェアード・デシジョン・メイキング)を実践されているお話をされていました。実際とてもにこやかでお話しやすいし、質問にとても分かりやすく説明してくださる先生でした。アンナさんは、キラッキラと美しかったです。乳がんと診断された時「ついに私の番が来た」「怖さはあるけど、絶対負けない」「がんになっても自分らしさを失わない」という決意をして、「あの時やっておけばよかった」と後悔しないために、常に主治医と話をして味方につけて、治療にちゃんと向き合う事ができた、というお話が心に残っています。
ー最後に今回のイベントに登壇した感想を教えてください!
ロッカ : 大阪・関西万博で盛り上がる大阪で、正直どのくらいの人が来てくださるのかしら?と思っていましたが 会場はほぼ満員で、熱心にお話をきいてくださって嬉しかったです。オンラインでもたくさんのご参加があったと聞き緊張しましたが、とても貴重ないい機会でした。帰りに新大阪駅で、しっかりと551蓬莱の豚まんとシュウマイを買って帰りました(笑)
文:構成 ピアリング事務局