「サバ女子応援プログラム」のサバとは、がん罹患者の通称“サバイバー”のサバと、前進あるのみ!止まらない魚の鯖(サバ)を掛けたもの。
女性特有のがんサバイバー向けSNSを運営する一般社団法人ピアリングが企画し、男女共同参画センター横浜北と協働で2019年度横浜市男女共同参画事業として開催されました。
プログラムは全3回※。8月25日はヴォイス・トレーニング、9月2日はウォーキング、9月22日はダンスのレッスンで、各回ともおしゃべり会がセットになった3時間構成です。
※1回のみの参加も可能
講師は3回とも、元劇団四季の俳優で現在はヴォイストレーナーやダンスインストラクター、俳優指導などで活躍している、史桜(しお)先生。ご自身も乳がんサバイバーです。
本レポートは、自身、家族、友人にがんの経験がなく、がんに関する知識もほとんどない私、ライターの吉野が、サバ女子応援プログラムのウォーキングレッスン+おしゃべり会に参加した感想を、2回にわたってお伝えします。
ウォーキングレッスン+おしゃべり会のプログラムには、合計15名が参加。
申込み受付開始後すぐに定員に達するほど人気のプログラムです。
参加者の半数が第1回からの継続で、あとの半数はサバ女子応援プログラムに初めての参加でした。
お友達同士で参加の人と、一人で参加の人が半々くらいの印象です。
会は参加者の自己紹介からスタート。
史桜先生から出された4つのお題(ニックネーム、どこから来たか、今日持って帰りたいこと、最近あった良かったこと)に沿って順番に自己紹介をしていきます。
自己紹介というと、苦手な人が多いですよね。
しかしサバ女子応援プログラムでは先生と参加者、ピアリングのスタッフの皆さんの間に一体感があり、全体的にふわっとしたあたたかな雰囲気に包まれているため、自己紹介にドキドキしてしまう人でも、落ち着いて話ができそうです。
どこから来たかという話題では、こんなに近くにがんサバイバーの仲間がいたなんて!と、嬉しい発見に弾ける笑顔。
最近あった良かったことではフルーツネタが多く、今シーズン最後と思って買ったスイカが瑞々しくて甘くて大当たり!という日常の小さな幸せエピソードにほっこり。
自己紹介でぐっと参加者同士の距離感が近くなりました。
そしていよいよ、ウォーキングレッスン。
史桜先生は、「姿勢は思考とつながっています。
姿勢が悪く目線が下がってしまうと、どうしても気分まで下がってきます。
逆に、美しい姿勢で歩くと目線が上がり、気分も上がり、運動効果も上がります。病気をすると、気分がマイナスになってしまうことがあると思いますが、美しい立ち姿、素敵な座り方、キレイな歩き方を手に入れて“自己肯定感”を高めていけるといいですね」と、正しい姿勢がもたらす心のポジティブな変化を強調。
ストレッチから始まった先生のウォーキングレッスンは、参加者の体調を最優先に進みます。
「体から、“この動き、気持ち悪いな。
やりたくないな”という声が聞こえたら、すぐにやめてしまってくださいね。気持ちのいい動きだけ、しましょうね」と、ご自身が乳がんサバイバーゆえのさりげない気遣いが言葉選びにも表れていました。
会の始めに受付で手渡された、最近の体調と当日の体調を記入する「セルフチェックシート」にも、企画者の配慮が。このような集まりに参加する際、参加者は気分が少なからず高まります。
そのため、自分の体調を客観視できなくなることも。
そんな時、セルフチェックシートに記入することで気持ちを落ち着かせ、自分の体と冷静に向き合うことができます。
ストレッチの後、休憩をはさんで正しい姿勢、座り方、歩き方のレッスンをこなしている間、会場には終始楽しそうな笑顔があふれていました。
乳がんの手術後で腕上がらない、子宮系のがん治療でお腹を動かすことに不安がある、動いてウィッグが取れてしまったらどうしよう…。
このような不安で体を動かすことを躊躇する人はたくさんいらっしゃるそうですが、今回のように患者会主催のイベントならば、主催者も講師も参加者同士も理解があり、心配事があっても相談ができるので参加しやすいですね。
がんを経験した女性のためのボディワーク&おしゃべり会「サバ女子応援プログラム」体験レポート(2)に続く
■取材・文:吉野(編集者/ライター)
家電業界専門誌のライターを経て、企業社内外広報誌(社内報、CSRレポート等)、企業オウンドメディアの編集者を経験。